国内

石破茂首相就任で初めて「主流派」に 大臣記者会見のオープン化を働きかけたフリーランス記者が見た「閉じられた首相会見」

10月9日の石破茂首相の記者会見では、自民党の裏金議員に対する処遇についても説明(2024年10月撮影:小川裕夫)

10月9日の石破茂首相の記者会見では、自民党の裏金議員に対する処遇についても説明(2024年10月撮影:小川裕夫)

 権力を持つと人は変わる、とよく言われる。では、第102代内閣総理大臣となった石破茂氏はどうなるだろうか? かつて記者クラブ独占が当たり前だった大臣記者会見のオープン化を働きかけた記者の一人でもあるライターの小川裕夫氏が、石破氏と記者会見の関係の変化について振り返り、考察する。

 * * *
 10月1日に発足した石破茂新内閣は、特に目を引くようなサプライズ人事も見当たらず、報道各社の調査では発足直後の割に高くない支持率となっている。自民党を揺るがした裏金問題への対応も右往左往し、石破首相が総裁選中に「すぐに衆議院を解散はしない」といった”公約”を反故したことも支持率低迷の一因だろう。

 石破首相は、自民党の地方組織から強い支持を得てきた。その一方、国会議員からは不人気で、党内の支持基盤は弱い。そのため、今回の党役員と閣僚人事は明らかに党内を意識した内向きな印象を残すものになった。この変化は、石破首相が初めて「主流派」になったことと無関係ではない。

「非主流派」だった石破茂は自民党幹事長会見をオープン化した

 今回、自民党総裁の座を射止めるまで、石破首相は自民党内でも非主流派として歩んできた。2012年に安倍晋三氏が自民党総裁に返り咲いたとき、自民党ナンバー2ともいえる幹事長に就任して党の要職を得たにも関わらず、非主流派という位置は変わらなかった。

 選挙時の報道を思い起こしてもらうと分かりやすいが、主流派でない政治家はメディア露出が激減するので、どれだけ政策を唱えても認知されづらい。そうしたことを意識してか、非主流派だった石破氏は新聞・テレビだけではなく、ネットや雑誌など媒体を問わず多くの取材を受けてきた。また、本来は自民党本部の記者クラブである「平河クラブ」加盟社のみ出席できる幹事長会見をオープン化した。

 長らく内閣総理大臣や官房長官、各大臣の定例記者会見は、内閣記者会や財政研究会、総務省記者クラブといった各記者クラブに加盟する報道機関が取り仕切り、そのクラブに所属する記者しか参加できないものだった。そうした記者クラブが記者会見を取り仕切る状態は、旧民主党が政権交代を果たす2009年まで続いていた。すでに新聞やテレビだけが報道機関の時代ではなく、新聞社・通信社・テレビ局だけで組織される記者クラブが会見を独占する状態は、時代遅れではないかという批判されていたが、現実は変わりそうになかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン