有働アナ

いまも視聴者に人気の有働アナ(写真は2021年)

語り尽くせないほど高い総合力

 どのテレビマンに聞いても真っ先にあげられるのが、NHK出身のアナウンサーらしい安定感と、良い意味で気取らない人柄の2つ。

 そもそも民放各局はNHK出身のアナウンサーが持つアナウンスや進行の実力を高く評価する傾向があり、現在も情報番組のキャスターに起用されている人が少なくありません。なかでも有働さんは、報道番組はもちろん、情報番組、スポーツ番組、音楽番組、トーク番組、ドキュメンタリー、さらに朝ドラと大河ドラマのナレーション、ニューヨーク勤務などのキャリアがあり、どんなジャンルの話題でもこなす現場対応力は芸能界トップクラスです。

 さらに明るく気さくで気取らない人柄が浸透し、「親近感がある一方でアンチが少ない」ことも重要なポイントの1つ。『あさイチ』時代の2011年、多くの脇汗をかいたことを指摘され、自ら苦情のFAXを読み上げ、数日後に「脇汗特集」を組んでもらったことは、今や伝説的なエピソードとして語られています。

 そんな親近感は、情報番組における出演者とのやり取りや、トークコーナーでの会話でも強みを発揮。芸能人から文化人、アスリート、一般人、高齢者や子供まで、相手を選ばず自然体で接するコミュニケーションのうまさとして視聴者に伝わっています。

 有働さんの高評価に対する本質は、ここであげきれないほどの強みを持ち合わせた総合力の高さ。長所が次々に上がる一方で短所はほとんどなく、「イメージがいいのにリスクがほとんどない」という点でスポンサー受けがいいところも含め、番組のジャンルやポジションを問わず「できるならキャスティングしたい」と思わせる人なのです。

「視聴者をもてなす究極のエンタメ」に

『有働Times』はそんな有働さんがメインキャスターを務めることで、報道と情報、情報とバラエティの間をゆくようなオリジナリティの高い番組にすることが可能。

 実際、同番組は「究極のエンターテインメントを目指す、まったく新しい創造的なニュース・情報番組」「“日曜のよる、視聴者をもてなす”というコンセプトで、従来のニュース・ワイドショーとは明確に一線を画す、“今”を切り取ることにこだわったニュース、スポーツ、芸能、天気、大型特集をお届けしていきます」という方針が発表されています。

 これは「せっかく有働さんがメインキャスターをやってくれるのならオリジナリティの高い番組にしよう」「『視聴者をもてなす』ことに長けた有働さんなら幅広い層を獲得できるだろう」という狙いによるものでしょう。

『有働Times』は幅広い視聴者層の獲得が求められる一方で、「最もスポンサー収入につながるコア層の個人視聴率が獲得できるか」は未知数。失敗の危険性は少ない一方で、成功の可能性が高いとまで言い切ることはできないでしょう。

 ただ少なくとも、若手アーティストやアイドルの出演が多い音楽番組の『with MUSIC』よりも、NHK時代から定評のある生放送情報番組のほうがフィットした感があるのは間違いなく、早ければ来年にも「日曜の定番」として定着するのではないでしょうか。

また、有働さんにとっては、土曜の『with MUSIC』も定番化させることで、「土日の顔」としての相乗効果を狙いたいところでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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