石破茂・首相の短期決戦の賭けはどんな結果となるか(時事通信フォト)

石破茂・首相の短期決戦の賭けはどんな結果となるか(時事通信フォト)

 民俗学の研究を見ると、家族観は時代ごとに変わっている。たとえば平安時代には、嫁さんを次々と変えるという貴族の風習があった。光源氏なんかが典型的でしょう。一般民衆のなかには夜這いの風習もあったし、これは明治ぐらいまでは普通に行なわれていた。明治時代に西洋文化が入ってきて、日本は「一夫一妻制」の文化が定着していったが、一方で妾制度も残っていた。このように家族観については、民俗学的に見てもその時代ごとで違っていたと言われている。

 夫婦別姓の議論をするにあたっては、夫婦同姓にしていることで守られていた権利がどうなるか、別姓にすることで得られる利益は何か、それをクリアにして議論しなければならない。多くの人の同意が得られて、かつ、政治の側でも別姓にしてもいいとなれば、夫婦別姓にすればいいだけ。

 そのように慎重な姿勢、態度を取るのが保守だと考えられる。

 石破氏は首相就任後、夫婦別姓問題は「家族の根幹にかかわる」として、慎重論に転じたように見える。「伝統だ、伝統だ」と唱え、別姓にすると家族破壊が起きると主張する党内勢力に足を引っ張られたのかは分からないが、そうした党内勢力は、保守とは呼べないだろう。

【プロフィール】
呉智英(くれ・ともふさ)/1946年生まれ、愛知県出身。評論家。日本マンガ学会理事。『日本衆愚社会』『バカに唾をかけろ』(ともに小学館新書)など著書多数。近著に『言葉の煎じ薬 言葉の診察室4』(ベスト新書)など。

※週刊ポスト2024年11月1日号

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