ちなみに構成もだいぶ変わっている。以前までは、牧歌的な鐘の音による『のど自慢』のテーマソングが流れ始め、手拍子をしながら出場者が1人ずつ行進し、登場。迎え入れる会場の客の表情などもおさえながら、出場者がステージに一列に並んだあと、そのグループショットを左から右へ、たっぷりと見せる。しばらくしてテーマソングが終わった後、ようやく司会が登場し、この日の開催場所を報告し、ご当地の名産品などを紹介…といったように、ゆったりとした展開だった。
だが今や、おなじみのテーマソングは流れながらも、ステージには司会、出場者、そしてゲストの歌手全員がすでに集結。「日曜お昼はのど自慢!」とみんなで掛け声をかけ、開催場所を告げ、ゲスト歌手を紹介。番組開始1分もしないうちに1組目の出場者が歌い始めるという、スピード感あふれるものとなっている。詳しいご当地紹介は2組が歌い終えたあとに始まる。
いかに分かりやすく、見やすく、そして視聴者を離さないかという点について、NHKでさえも苦慮しているようだ。
こうした出場者のプロフィール紹介は、同じ素人参加番組『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)でも取り入れられている。かつては画面に、テロップが何もなかった時代もあった。当然、新婚夫婦の名前もなかった。
しかし今では、一番上に新婚夫婦のキャッチコピーとそれぞれの名前と年齢、さらにどこから来たのかが表示されている。そして大きく変わったのは左画面。「出会いは高校の部活」「部活中にドキドキ密着」など、トーク内容が縦一列に大きく表示されているのだ。
以上挙げた番組はいずれも、画面にテロップがないことが当たり前の時代に生まれた番組だ。そしていずれもF3(50歳以上女性)、M3(50歳以上男性)の視聴率が圧倒的に高いことで知られる。コア視聴率、個人視聴率重視という時代の要請を受けて、テロップを駆使し始めた3番組。一体どれほどの効果があるのだろうか? それでも0.1%を削り出すべく、涙ぐましい努力が続いているのだ。(芸能ライター・玉置天津)