「戦争を起こすのはいっつも大人。子どもたちには罪がないんですよ。平和になってもらいたい」──NEWSポストセブンの取材にそう語るのは、真っ赤な鉢巻きがトレードマークの“スーパーボランティア”こと尾畠春夫さん(85)。2004年、65歳で営んでいた鮮魚店を閉めて、念願だったボランティアを始めた。九州の最南端から北海道の宗谷岬まで歩き、全国の被災地支援にも単身で駆け付けた。長年、ボランティア活動を続けてきた尾畠さんは今年3月のインタビューで「活動は85歳で一区切り」と語っていたが「引退宣言」を撤回。その背景には幼少期の経験と“長年の夢”があった──。【前後編の後編。前編から読む】
戦後79年、日本は平和を保ってきた。だが、ウクライナやパレスチナ自治区ガザでは、戦争で街が破壊され、そこで生きる多くの子どもたちの未来が奪われている。尾畠さんは決して“対岸の火事”ではないと真剣な表情で語る。
「日本で起きた戦争でいちばん悲しい思いをしたのは沖縄の方だと私は思います。地上戦がありました。たとえば、ひめゆり学徒隊とかそういった沖縄戦で犠牲者になった方々の骨がガマ(自然洞窟)の中に相当残っていると思う。それを拾って出してあげたい」