ダイナミックなスイングで海外勢に負けないロングドライブ──国内ツアー5勝の原英莉花(25)が、来季の米女子ゴルフツアー(LPGA)出場権をかけた2次予選会(通称・Qシリーズ)でも懸命なプレーを見せた。初日こそ出遅れたものの2日目以降は調子を上げ日本勢トップとなる18位で予選通過した。今回は原のほかに神谷そら(21)ら日本人選手8人が参加した。
現在、国内ツアーで「年間女王」を争う山下美夢有(23)と竹田麗央(21)、「岩井ツインズ」こと岩井明愛(22)と岩井千怜(22)の4人も挑戦を表明。2次予選を突破した原を含め、多くの日本人選手が12月に控える最終予選会に参加する予定だ。近年、女子ゴルフ界は米国挑戦の流れが加速している。ツアー関係者はこう不安を漏らす。
「10月27日に岩井千怜が『三菱電機レディスゴルフトーナメント』を制しましたが、この4人だけで今季14勝しています。年間38試合ですから全体の3分の1以上を占めます。その4人が丸ごと抜けてしまう可能性がある。ただでさえ地上波での中継が減るなか、ゴルフ人気にも影響が出るのではないか」
米国向きの「飛距離」
今季は古江彩佳(24)、西郷真央(23)、「シブコ」こと渋野日向子(25)ら日本勢9人が米国を主戦場にしている。国内上位の山下ら4人は順当かもしれないが、今季未勝利の原や神谷までもが米国挑戦を急ぐのはなぜか。
「あれだけ賞金額が違えば、環境が変わる不安があっても挑戦したくなりますよ。米メジャー大会で優勝した笹生優花(23)や古江は日本円で3億円以上の賞金を受け取った。メディアで“不調”“連続予選落ち”と書かれるシブコも2億50000万円超。大きな大会で上位に食い込めば、優勝できなくても国内ツアーの数勝分の賞金になります」(ゴルフ担当記者)
原や神谷らは“米国向き”と見る向きもある。
「原は身長173㎝、神谷は168㎝と上背があります。2人とも調子の波はありますが、距離の長いコースで結果を残しているのが共通点。米ツアーのコースは日本より広いため、むしろ飛距離で海外選手に見劣りしない2人には合っているかもしれない」(同前)
海外での活躍は喜ばしいものの、原をはじめ華やかな選手の“流出”には寂しさも感じてしまう。