名前を出さないなら代わりに有名人の話を
本誌『女性セブン』は渦中のX医師を直撃した。以下がX医師との一問一答である。
──幼稚舎の特別な入学ルートについて話を聞きたい。
「どうしても記事にしてしまう状況ですか? ぼくは『こういう人が受けます』と言うだけで、別に金銭は動いていないんです」
─—斡旋が……。
「(質問を遮り)斡旋じゃないの。『こんな人が受けるらしいです』って程度。例えば2~3人で競った中だったら、ちょっと頭に入れておいてね、くらいの話です」
──幼稚舎の教員との食事代まで保護者に請求しているそうだが。
「それは、食事代くらいはねえ……。お願いしてあげる代わりにご飯食べるよって。でもそういうこと(買収)とは違うんです」
──子供を特別なルートで入れたと告白する人がいる。
「それが誰か、知っているよ。あの人の話を真に受けてはいけない。とにかく幼稚舎はフェアだし、子供たちが傷つくことはやめてください」
入試はフェアと言いながら「口利き」をした事実や、食事代をAさんに負担させたことは認めたX医師。こんな衝撃発言も口にした。
「ぼくの名前を出さないと約束してくれたら、有名人の(特別な入学の)知っていることを話しますよ。皆さん、まあまあそういうことをされているかたがたが多いってことですね」
また、Aさんが“X医師の息のかかった教員”と明かした、現役のある教員に本誌が話を聞くと、「Xさんは怖い人。私は名前を使われた」などと語り、X医師の動きを把握していることを漏らした上で、金銭の授受や接待を明確に否定しなかった。仮に、金銭や接待がなかったとしても、教員たちの間では、X医師が受験生の親から金銭を受け取っていることが周知のものであることがうかがえた。
X医師のブローカー活動を慶應側が知っていて放置、黙認していたのなら、それはコンプライアンス上の重大な問題であるだろう。一連の疑惑について慶應義塾広報室はこう回答した。
「ご指摘に関するような志願者の保護者などと本校教員との不適切なやり取りは確認されておりません。慶應義塾幼稚舎は、入学試験の公正で厳正な実施のために細心の注意を払っております」
悔悟の念から告白したAさんは最後にこう語る。
「当時はあまり罪の意識がなく、X医師のことをすごいとさえ思っていましたが、時間が経ち周囲でまっとうに幼稚舎の受験に挑戦する家族を見ていると胸が痛くなりました。いままで家族にもX医師の存在は伏せてきましたが、子供のためとはいえ甘い誘いにのり、お金で合格を得ようとした自分の行為を恥じています」
今年、創立150周年を迎えた幼稚舎。これまでこの学校法人には巨額の助成金がつぎ込まれてきた。まもなく始まる2025年度の入学試験に、“特別な入学ルート”は存在しないのか。なにより幼い受験生の努力を踏みにじらないためにも、迅速に「確認」すべきだ。11月1日から幼稚舎のお受験が始まる。
(前編から読む)
※女性セブン2024年11月14日号