集団になることで、もともと個人がもっていた意見よりも極端な方向に変化しやすくなっていく「集団極性化」という現象が起こりやすくなる。支持者たちはトランプ氏や他の支持者たちの発言に煽られ同調し、波に乗り遅れないようにと、自身の言動を候補者の望む方向に変化させていく。前回の大統領選では、一部のトランプ支持者たちが暴徒化した。1人なら行動しなくても、集団になれば過激な言動をしてしまうのもこの影響だろう。
有権者のそのような心理的傾向や心理現象を利用し、支持を集めていくプロセスが目立ったトランプ氏の選挙戦術。トランプ氏との討論会で有利に立ったハリス氏も、彼が大統領になれば国は危うくなると煽り、自分が大統領になれば安全だと主張。一時はより多くの支持を集めたが、それではトランプ氏と同じ穴のムジナ。一部の支持者からの支持を失いつつあると気が付いたのか、終盤にはトランプ批判を封印。一致団結するよう呼びかける戦法に切り替えたが、トランプ氏の復活を待ち望んだ支持者集団の熱量には勝てなかった。
パワハラ、モラハラ、セクハラ発言と何でもありの大統領選が終わった。品位や品格などかなぐり捨てて勝利したトランプ氏によって、米国はこれからの4年間どう変わっていくのだろう。