「あれは使いもんにならん」
〈まず10万円の封筒を渡すと確認されて、渡された封筒には、中に白いかたまりが見えました。持ってきた男と話して、『ダンナがいるんだろ?』『注射器はいるか?』『炙りで使うか?』と言われたが、炙りを知りませんでした。
社長には翌日の夕方に、もらった封筒を渡した。社長は『ありがとうございます』と言っていました。それから、変化を感じたことはありませんでしたが、話をされたのは翌日の昼だった。『あれはつかいものにならん。ニセモノや。もうお前には頼まん』と言われました〉
それ以降、野崎さんは覚醒剤の話をしなくなったという。前出の司法担当記者が解説する。
「死因になっている覚醒剤について、須藤被告は『性生活がうまくいかない中で、野崎被告に頼まれ、買った』『それ以降は覚醒剤の話をしなくなった』と主張したことで、自身の犯人性を否定した形になる。
一方検察側が行なった証人尋問では、野崎さんの複数の知人が『自殺の兆候はなく、通院予定があった』『覚醒剤を使っていたなんて聞いたことがない』と証言している。両者の主張は食い違っており、今後検察側からの被告人質問に、須藤被告がどのように答えるか注目される」
佳境を迎えた公判。被告人質問は、11日、15日と続く予定だ。
(了。前編から読む)