最初は有名IT企業の社長
さらに衝撃の事実も浮かび上がってきた。X氏自身の子供も幼稚舎出身なのだが、その子供の担任がY教師だったのだ。
Y教師は、幼稚舎受験を控えた受験者の親にルール違反の個別指導を行い、1回5万円以上の金銭や、高級ワインなどを受け取っていたとされる曰く付きの人物。2019年夏に『週刊文春』が一連の疑惑を報じ、その後、懲戒免職処分となった。
「担任が6年間持ち上がる幼稚舎では、保護者が、長いつきあいとなる先生がたにお中元やお歳暮を贈る習慣があります。X氏は15年ほど前に子供を介してY先生と出会い、そこから結びつきを深めていったそうです。実際にY先生は、X氏に買収される現役教員たちの仕切り役だったと説明されていました」(Aさん・以下同)
X氏とY教師の「入学ブローカーコンビ」は著名人にも食い込んでいたようだ。
「彼らが最初に“特別な入学ルート”を斡旋したのは、有名IT企業社長の子供だったそうです。そこでスキームの端緒ができあがると、少しずつ内部の協力者、つまり現役の教員に仲間を増やしていき、その後はマルチな才能を持つクリエーター、誰もが知る大物役者の子、大相撲関係者など各界の著名人を斡旋したと聞かされました。X氏は会食の席などでそうした自慢話を吹聴し、自分が世話した有名人の子供の願書のデータを見せびらかすこともありました」
実際、X氏のSNSには政財界の大物との交流をうかがわせる書き込みが多く、特別な入学ルートを斡旋することで築いた幅広い人脈があることを連想させる。
Y教師とのタッグで幼稚舎受験のブローカーとしての地位を築いたX氏。しかし、Y教師がさらなる“顧客”の獲得を図ったことで、あえなくコンビは解消となったという。
「X氏との関係だけでは満足できなかったY先生は、慶應出身者が集うゴルフコンペに参加して、独自に“金持ちの入学希望者”を探し回るなど行動が派手になりました。かつてトレンディードラマで一世を風靡した俳優ともいつの間にか仲間になり、その俳優の子供の進学も手伝ったのだと話していました。
いつしか目立ちすぎる存在になったY先生は文春報道で失脚しましたが、それ以降もX氏は幼稚舎に深く食い込み、学校の幹部しか知らないような教員の人事情報までをいち早くキャッチして、LINEで教えてくれていました」