藤澤五月

昨年、鍛え抜かれし筋肉美を見せた藤澤選手(写真提供/FWJ)

勝てなくなった3つの要因

 今シーズンの開幕戦となったアドヴィックスカップ(8月・北海道)では、リードの吉田夕梨花選手(31)が腎臓結石の術後のために欠場してしまい、3人体制で戦うことを余儀なくされたが、3連覇していた大会を4位で終えた。また、翌週に行われたアルゴグラフィックスカップ(北海道)では吉田も復帰し、万全の体制で臨んだが、結果は最終8エンドに北海道銀行にスチールを許して準優勝。これまで結果を残してきた大会で勝てなくなっている。

 世界レベルのロコ・ソラーレが国内で勝てなくなった背景には、主に3つの要素があると専門家は指摘する。まず、1つ目は国内チームとの少ない試合数だという。

「ロコ・ソラーレは常に世界一を目指してきたチームです。そのため、シーズン中のほとんどをカナダ遠征に費やし、J・D・リンドコーチのもとで海外のチームと試合を多く経験することを重視していました。そのため、国内で戦う機会が日本カーリング選手権大会を含めて2~3試合程度で、国内のチームと戦うことが極端に少なく、把握しきれていない戦術で苦戦していることが要因とも考えられます」(ウインタースポーツ関係者)

 2つ目は、海外と国内のアイスリンクのコンディションが大きく違うという。

「カーリングは、会場のアイスリンクへの適応力で勝敗を大きく左右します。氷の温度や会場の湿度などで微妙な変化がストーンの滑りに影響を与えるので、国内の会場に慣れている国内チームは日本選手権において有利ですし、海外慣れしているロコ・ソラーレは、海外での試合の方がやりやすいという点があります」(同前)

 3つ目の要因として、ロコ・ソラーレの“高齢化問題”を指摘する。今年の日本カーリング選手権で優勝したSC軽井沢クラブのメンバーは、20代前半の選手がほとんどの若いチームで構成されていた。

「ロコ・ソラーレは、2015年から現在のメンバーで構成され、全員が30代となり、平均32歳です。経験は豊富ですが、昨年10月には鈴木夕湖選手が怪我で離脱するなど体調面でも不安が残りますし、プライベートでは吉田知那美選手に続き、今年は吉田夕梨花選手が結婚するなど、ライフステージでの変化も出てきます。10年近く同じチームで、同じメンバーというのはカーリング界で異例だと言われています」(同前)

 2026年の冬季ミラノ五輪に出場するためには、2025年2月に行われる日本カーリング選手権大会で、最低でも3位に入らなければいけない。

「ロコ・ソラーレは2021年の女子カーリング日本代表決定戦では北海道銀行に2連敗しながらも、そこから3連勝という大逆転劇を見せて日本代表の座を獲得しました。日本代表を勝ち取るのがよほど苦しかったのか、チームの代表である本橋麻里さんも涙していました。チームは北京五輪で世界と渡り合い、史上最高となる銀メダルまでたどり着きましています」

 すでに『崖っぷち』の状況を経験しているロコ・ソラーレ。勢いのあるチームを抑えて、再び日本代表に返り咲くことを期待したい。

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