日本最大の暴力団・六代目山口組。圧倒的な知名度を誇る一方で、彼らの素性については知る機会が限られている。近年は警察から「特定抗争指定」を受けたことで、大規模な定例会や会合なども開きにくくなり、メディアも報じる機会が減少。そのため六代目山口組が発行し、傘下組織に配布している機関紙『山口組新報』への注目は上がる一方だ。
『山口組新報』は、その掲載内容から慶弔に重きを置いていることが窺える。直参に昇格した組長の盃の様子や、歴代山口組組長の法要などメディアが立ち入ることはできない行事の詳細が事細かに記されている。その中でも一際、大々的な扱いなのが司忍組長(82)の誕生日会のレポートだ。
山口組トップの誕生日会はいったいどのように行なわれるのか──『山口組新報』によると、2024年1月25日に誕生日を迎えた司組長が、乾杯の音頭の後、ケーキにささったキャンドルの火を消して、宴会が開始したようだ。しかし、その掲載内容が例年よりも簡素な記載に留まっていると実話誌記者が指摘する。
「『特定抗争指定』を受けたことで山口組総本部が使えず、会場の広さの都合で直参組長全員を呼ぶことが出来なかったことと、そして正月に発生した能登半島地震への配慮もあるのではないか。もちろんコロナもまだ気をつけているだろう」
では、総本部が使えた頃の司組長の誕生日会はどうだったのか。コロナ禍前の2018年の『山口組新報』に詳細なレポートが掲載されていた。
〈一月二十五日この日は我々にとって大変喜ばしい日であります〉(以下、〈〉内は『山口組新報』より)。2018年は司組長が喜寿を迎えた年でもあったので、〈特別なお祝いの日〉だという。
午前11時、総本部の大広間に直参組長が勢揃いして宴が始まる。〈家長の長寿は何より喜ばしく励みになります〉と当時の統括委員長が祝辞を述べ、乾杯の発声で祝賀会に移る。
祝賀会になると多数のコンパニオンが大広間に入場し、「ハッピーバースデートゥーユー」を合唱。司組長がウェディングケーキほどの大きさがあるバースデーケーキのキャンドルについた火を吹き消すと、〈会場には割れんばかりの拍手が響き渡りました〉とし、花束も贈呈される。
住吉会との「埼玉抗争」の首謀者として、前年に無期懲役の判決が確定した直参組長の落合勇治・小西一家総長(当時)から〈六代目山口組は世界一のファミリーだと実感しております〉〈来世も親分の子分にして下さい〉という祝電も届いたという。