OBの証言「鍵の場所は誰も知らない」
埼玉栄はサッカー部や相撲部をはじめ、スポーツの強豪としても知られる。今回の事件を受けて11月19日に、学校を運営する学校法人『佐藤栄(さとえ)学園』は記者会見を開き、謝罪した上で、事件が起こった経緯の説明をした。
同校の林昭雄教頭によると、横転した軽自動車の鍵は日ごろから車内にあり、車自体の鍵は常にかけておらず、誰でも運転できる状態だったという。事件当日はサッカー部のコーチが車を使ってグラウンド整備をしたのを最後に、サッカー部の倉庫脇に駐車されていた。横転した車は2022年8月に購入されていたものだった。
「以前から、グラウンド整備用の車はあった」と語るのはある同校運動部のOBだ。
「15年くらい前もサッカー部は黒いバンタイプの整備車をもっていて、グラウンド整備で使うことがありました。けん引する部分に特殊な金具みたいなもので“トンボ”をつなげて、グラウンドをならすんです。私の時代はそれほど使っていない印象があって、雨が降った時など週に1回くらいの頻度で使用したと思います。グラウンドは広い上に、雨が降ると、人の力だけだと整備が大変ですからね。
生徒が整備用の車を運転するってことはありえないです……。死亡事故が起きたと聞いて驚きました。当時は、練習後に車に乗るのは基本的に教員の監督かコーチだけで、生徒が同乗することすらありませんでした」