ブームになるのは女性が観るから
溜席はそんなスリルが満載だというが、毎年観戦する九州場所で今回ほど多くの観客が入った記憶がないという。
「ボクの席から見ると3階席の一番上までお客さんがいて、多くの人が力士の四股名が入ったタオルを掲げて応援しているんですよね。博多は客の入りが悪くて、いつも3階席はガラガラだった。相撲中継では土俵周りだけ映したほうがいいよとNHKの偉い人に言ったことがあるほど。舞台で空席が目立つ時は花道の周辺に座らせてごまかすのが常識でしたからね。今場所はそんなことを心配することない。なんせ満員札止めですからね」
年6場所90日間完売は、若貴ブームの1996年以来、28年ぶりのことだという。大村氏は満員札止めが続く状況について、こう見ているという。
「若貴時代と違うのは、女性が多くなりましたね。マス席を見回しても、中年層の女性ばかり。彼女たちの年代は友達を連れてくるし、家族を連れてくる。大谷翔平君のメジャー中継じゃないが、そうした女性の層に認められないとブームにはならない。
やはり満員の会場はいいですね。観客が多いほど、拍手と歓声で相撲内容の評価がはっきりする。素晴らしいですよ。相撲観戦は大声を出さないのがマナー。これがわかっている女性客たちはしっかりとタオルを掲げて応援していますからね。それに着物を着ての観戦もやはりいいですよ。我々が想像した以上に女性が入っているから、確かな人気なんだと思います。相撲グッズ売り場も、デパートの催事会場みたいに混んでいる」