銃撃後、拳をあげて無事をアピールするトランプ氏(時事通信フォト)

銃撃後、拳をあげて無事をアピールするトランプ氏(時事通信フォト)

広大な農業国ゆえの大統領選挙のかたち

 実はアメリカ大統領選挙が行われる日取りについては、「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」にすべしということが、法律で決まっている。これは1845年から、ずっとそういうスタイルで行われてきた。なぜそういうことになってるのかといえば、まず19世紀当時のアメリカ人の多くが従事していた、農業の収穫が終わった時期であるということ。

 そしてまた、当時のアメリカ人のほぼすべてがそうであった、キリスト教会の日曜日の礼拝の後であるということ。そしてさらに、郊外に在住している人々でも、徒歩や馬でちゃんと遠く離れた場所にある投票所までたどり着けるように、日にち的余裕を持たせているということ。この3つの事情から、大統領選挙の投票日は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と定められているのだ。

 無論、こういうあり方はさすがに時代錯誤ではないのかという指摘がアメリカ国内でも多々あって、たびたび改革案が浮上するなどしている。しかし現状ではまだ、この「19世紀の作法」で、アメリカ大統領選挙は運営されているのである。

 ところで、その「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」に大統領選挙を行うのは、1845年以来の伝統だとは書いたが、アメリカ合衆国の建国は1776年である。それまではどうしていたのか。実はそこに、アメリカ大統領選挙の大きな特徴である、「選挙人」の存在がからんでくる。

 これは一般の報道でも多々説明されていたので、多くの読者もご存知のこととは思うが、アメリカ大統領選挙において一般の有権者が選んでいるのは、実はトランプやハリスといった候補本人ではなく、選挙人という「大統領を選ぶ権限を持った人」である。全米各州には、あらかじめその時の大統領選に候補を出している政党系の選挙人がいて、基本的には州の人口規模に比例して、人数枠が割り当てられている(例えばアメリカ最大の人口を誇るカリフォルニア州には54人の選挙人枠が割り当てられているが、人口の少ないアラスカ州には3人分の枠しかない)。ごく一部の例外州を除いてこの選挙人枠は、大統領選挙の一般投票にて州内で最多の票を得た党派が独占してしまう。つまり仮に10人の選挙人枠がある州があったとして、投票の結果、共和党が60%、民主党が40%の票を獲得しても、選挙人を共和党と民主党で6人、4人と分け合うわけではなく、共和党が10人を独占してしまうわけだ(なお、現状では一般有権者が使う投票用紙には、トランプやハリスら立候補者の名前が記され、選挙人の名前は出てこないが、あくまでシステム上は、それそれの立候補者を支持する選挙人が選ばれている形となっている)。

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン