東映の大先輩たちと一対一で芝居する場面も多かったけど、臆せず、渡り合っていた。普通の役者ならスターに圧倒されている気持ちが演技にあらわれてしまうものだけど、菅原さんにはそんなところがなかった。そういう点が深作欣二監督の眼にとまったんじゃないだろうか。監督は現場でアイデアがひらめくと、菅原さんに相談していた。二人はある種の戦友だったんだろう。
プライベートでは、役者だった息子の加織君をとても可愛がっていた。農業を始めたのは、加織君が亡くなってから。孫に美味しい野菜を食べさせたいと思ったのかな。暇があれば自分も畑に出て、土を耕していた。そんな人だったよ。
【プロフィール】
誠直也(まこと・なおや)/1948年生まれ、佐賀県出身。東映映画に多数出演し、テレビ『秘密戦隊ゴレンジャー』『特捜最前線』で注目を浴びる。
取材・文/春日太一(時代劇・映画史研究家)
※週刊ポスト2024年12月6・13日号