ダウンタウンの松本人志の言葉に涙
「植毛から帰国後に出演した『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ダウンタウンの松本人志さん(61)が『今までいろんな苦労してきて大変だったと思うけど、その苦労は絶対役者としてのスパイスになる。そのスパイスで壱成くんがどんな料理を、お芝居を作っていくのか楽しみにしています』と言ってくれたんです。ありがたくて涙が出ました。松本さんのあの言葉で、『自分にはやっぱり芝居しかない』と心が定まりました」
決意を固め、地道に活動を進めると徐々に映画や舞台の仕事が舞い込むようになった。今年4月には個人事務所を設立し、月イチのラジオ番組『いしだ壱成 ラジオスターの喜劇』(鳥越アズーリFM)もスタートして、活動の幅を広げている。
「今の事務所のスタッフは、僕が芝居だけに集中できるような環境を整えてくれます。かつては精神的な病気を患ったこともありますが、スタッフのおかげで今は落ち着きました。ラジオは台本も自分で書いて、構成作家を兼ねる感じ。ゲストを呼ぶこともあるけど、基本1人で自分の好きなことを話しています」
明るい表情で語る壱成が最近、力をいれているのが芝居のワークショップだ。
「月イチで若手の役者さんのお芝居を指導するためにワークショップの講師をやらせてもらっています。僕は19歳で美輪明宏さん主演の舞台に出演した際、美輪さんから『300人の客席なら600人の観客がいると思って、その最後列に声も心も届くよう演じなさい』などと様々な極意を教えてもらいました。30年の芝居人生の中で美輪さんはじめ、いろんな方に教えてもらったことを、今度は自分が若手に伝えていけたらいいなと思います」
本業である役者としても、現時点で映画出演のオファーが5〜6本あるという。“完全復活”に迫る壱成の背景には、プライベートを支える2人の「恩人」の存在があった──。
(後編に続く)