石破政権の逃れられない宿命
一方、辛くも首相続投を果たした石破に対しても、小沢の見方は厳しい。
「かつての自民ならこれだけ負ければ当然、退陣論が噴出していた。しかし、いまの自民党にはそんな気力もない。このままだとケジメもなくダラダラと石破政権が続くことになる。僕はいま立憲民主にいる立場だが、旧知の自民の幹部に『きちんとした連立にしないと政権は不安定になる。少数与党なんてそんなに甘いものじゃない。だからもっと各党と話し合って、時間をかけるべきだ』とアドバイスした。
だが結局、石破君も早く首相の座を確定させたいから首班指名を急ぎ、バタバタと決めてしまった。補正予算案でも法案でも、国民民主が賛成してくれなかったら、たちまち政権は行き詰まる。こんなに不安定な政権では有権者にとっても至極迷惑な話」
どの民主主義国家の歴史を見ても、与党が過半数を持たない政権は極めて不安定で、短命に終わることが多い。石破政権も、その宿命からは逃れられないだろう。一方で、野党もまとまることができなければ、まさに「宙ぶらりん」の政治状況が続くことになりかねない。
それでは打つ手はないのか──そう尋ねると小沢は少し考えて言った。
「いまは、みんな茫然とした状態で気力も何もないからね。とはいえ、石破政権も不安定な状態が続くことになる。政権交代の好機は、近々必ずやってくる」
(第2回に続く)
【プロフィール】
城本勝(しろもと・まさる)/1957年、熊本県生まれ。ジャーナリスト。一橋大学卒業後、1982年にNHK入局。福岡放送局を経て東京転勤後は、報道局政治部記者として自民党・経世会、民主党などを担当した。2018年退局後、日本国際放送代表取締役社長などを経て、2022年6月からフリージャーナリスト。著書に1993年の政権交代の舞台裏を描いた『壁を壊した男 1993年の小沢一郎』(小学館)がある。
※週刊ポスト2024年12月6日・13日号