相次ぐ”嫌がらせ”に店の従業員も恐怖を覚えているという

相次ぐ”嫌がらせ”に店の従業員も恐怖を覚えているという

ヘイト行為の実害「迷惑電話が100回以上」「理由なく警察を呼ばれて…」

 タシさんは埼玉県内でケバブ店『ハッピーケバブ』を複数店舗を営む経営者だ。明治神宮球場内にも出店し、県外のアウトレットモールなどでもケバブを提供するなど、手広く事業を展開している。そんな彼が心を痛めるのは、日本人による執拗な嫌がらせだ。

「今年に入ってからもう100回以上、脅迫みたいな電話が店にかかってきます。あまりにもしつこいので、電話は録音するようにして防犯カメラも取り付けました。ほかにも『違法駐車している』と言いがかりの通報をして、パトカーを店の前に呼ばれたこともありました」

 実際にタシさんが録音した音声を聞くと、「お前らクルド人が迷惑なんだよ。日本から出ていけって言ってんだよ、ボケ!」「犯罪行為ばっかりしやがってよ」と激昂した男性の声が。また昨年12月、防犯カメラにはサングラスをかけた日本人の男が店の前に現れ、突然両手にスマホを掲げて店内を撮影したあと「喧嘩売ってんの?」「警察呼ぶか?」と店員に言い放ち、その場を去っていく様子も残されていた。

 SNS上だけにとどまらないクルド人に対するヘイト行為。タシさんは今の日本の状況に限界を感じているという。

「日本には思い出もたくさんあるけど、もう故郷のトルコに帰りたいという気持ちもあります。もちろん悪いことをするクルド人もいるけど、それはほんの一部。日本人だって犯罪する人はいるのに、なぜ『クルド人だ』というだけで、差別されなければならないのか……。

 一部のクルド人のせいで批判があることもわかっています。だからこの辺りのコミュニティに属している人は、改造車に乗ったりするクルド人を取り締まるためにパトロールなどもします。私は法人税だって数千万円払っているし、能登の震災の時はボランティアだってした。日本人の友達も多いし、大好きだけどこのままだともう日本にはいられないかもしれない」

 11月11日、在日クルド人の団体は裁判所に、団体の事務所付近でのヘイトスピーチなどの禁止を求める仮処分を申し立て、さいたま地裁は21日、事務所から半径600メートルの範囲でクルド人を侮辱するなどのヘイトデモを禁ずる命令を出している。これを受け日本クルド文化協会のチカン・ワッカス代表は「私達にとって大きな一歩であり、未来への希望を繋ぐものです」とコメントした。

 SNS上だけでなく、可視化されるクルド人へのヘイト問題。今後、どういった展開を見せるのか──。

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