『紀州のドン・ファン』と呼ばれた会社経営者・野崎幸助さん(当時77)が自宅で死亡していた事件で、殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)。9月12日から和歌山地裁で始まった裁判員裁判は、11月18日にようやく結審した。判決は12月12日に言い渡される予定だが、検察側が無期懲役を求刑していることに話題が集まっている。無罪を主張し続けている須藤被告は法廷で何を語ったのか。最後に質問を受けた11月15日の第21回公判を振り返る。【前後編の前編】
野崎さんが亡くなったのは2018年5月24日の夜。解剖の結果、致死濃度を超える覚醒剤成分が血中から検出されており、死因は急性覚醒剤中毒とされている。
検察側は、2018年2月に野崎さんと結婚した須藤被告が「莫大な遺産を得るために完全犯罪をたくらんだ」としている。野崎さんが須藤被告との離婚を検討していたことを指摘し、離婚によって財産を手に入れられなくなることを恐れた被告が殺人に及んだのではないか、としている。
これに対し、須藤被告は一貫して「月100万円もらえるという約束で結婚した」「そもそも愛情のない、お金のための結婚だった」と主張。さらに遺産目当てだったのではないかという指摘には「お金のために結婚したのだから、もともと遺産も欲しかった」と開き直ったような主張を展開してきた。