大谷の背番号「17」と書かれた駐車スペースにバックで駐車された白いポルシェ

大谷の背番号「17」と書かれた駐車スペースにバックで駐車された白いポルシェ

しかし、この表敬訪問が「政治的なリスクを引き起こす可能性がある」と一部で懸念されている。というのもトランプ氏は前回、2017年1月に大統領に就任した際、数々のスポーツ選手たちと軋轢を生んできたからだ。

 当時、アフリカ系アメリカ人に対する警察官の暴力に抗議の意を表明するため、NFL(アメリカンフットボールのプロリーグ)のアフリカ系選手たちが、試合前の国歌斉唱時に片膝をついて、人種差別に対する抗議行動をとった。この態度を「国家、国旗に対する侮辱行為だ」として、強く非難した人物こそがトランプ氏なのだ。まるで差別を容認するかのような言動をした大統領への反発はNFLだけでなく、他競技にも広まっていった。

「2018年、バスケットボールのスター選手レブロン・ジェームズは『もし自分のチームが優勝してもホワイトハウスは訪問しない』と宣言。また、この年のワールドシリーズを制覇したボストン・レッドソックスに当時所属し、現在は大谷選手のチームメートであるムーキー・ベッツ選手がトランプ大統領との面会を辞退して騒ぎになりました。最終的にレッドソックスでは、計11人の選手と、中南米にルーツを持つ監督も欠席する事態となったのです」(前出・現地特派員)

 背景には、トランプ氏が掲げる「白人至上主義」がある。トランプ氏は移民政策や経済政策において近隣の中南米諸国を蔑視する言動が多く、アフリカ系だけでなく、中南米出身の選手たちがその言動に強く反発しているのだ。さらに、彼の差別意識はアジア人へも及ぶ。

「新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るった際、トランプ氏は自身のツイッター(当時)に、『中国ウイルス』と書き込み、『中国から来たウイルスだ』と断言したのです。

 こうした言論は『病気をウイルスではなく、特定の人種や民族と結びつける行為』だと世界中から非難されました。実際、アジア系の住民が飲食店や学校で罵倒されたり、暴力にさらされたりする事例がアメリカ全土で報告されています」(別の在米ジャーナリスト)

 そんなトランプ氏が、ドジャースの表敬訪問を受けるとなれば、どんなことが予想されるのか。チームの主力であるベッツは、今回の表敬訪問にも不参加の可能性が濃厚だ。さらに、トランプ氏自身がドジャースというチームにマイナスイメージを持っているとの指摘もある。

「ドジャースの本拠地・カリフォルニア州は、トランプ氏の対立候補だったカマラ・ハリス氏の地元。ドジャースがワールドシリーズを制覇した直後には、選挙戦真っ只中のハリス氏がロバーツ監督に電話し、仲よく談笑したほど関係が深いのです」(前出・在米ジャーナリスト)

 こうした経緯もあり、いまやドジャースの顔となった大谷が、トランプ氏と対面することになれば、和やかな雰囲気で終わらない可能性が危惧されているのだ。

「トランプ氏が『ちゃんと納税しろよ』などと大谷選手のことを揶揄したり、アジア人差別とも取られるような言動があったりした場合、コロナ以降、アジア人へのヘイトクライムが増加するアメリカにおいて、その悪影響は計り知れません。トランプ氏が再び大統領選に勝ったことで、アメリカ社会に悪い兆候が出ているといわれています。

 最近も、在米写真家の邦人男性がニューヨークの路上で突き飛ばされて転倒し、頭を強く打って死亡する痛ましい事件が起こりました。犯人は白人男性で、高齢者の杖を払うという信じられない行為に、背景にはアジア系への差別意識の高まりがあるのではないかと緊張感が高まっています」(前出・別の在米ジャーナリスト)

 場合によっては外交問題に発展しかねないという声もある。

「実際、大谷選手は今シーズンの開幕直前に元通訳の違法賭博疑惑を捜査されたり、チームのためを思っての後払い契約に追加の徴税を課される可能性が示唆されたりするなど、アメリカではあえて彼に不利益を被らせるような対応が存在したという指摘もあります。もし国のリーダーがそれを扇動しようものなら、多くの日本人も黙ってはいないでしょう」(球団関係者)

 2014年、前年のワールドシリーズ覇者としてホワイトハウスを訪問した上原浩治氏は、当時のオバマ大統領と顔を合わせた際、直接名前を呼ばれ称賛の言葉をかけられた。大谷とトランプ氏の初顔合わせではトランプ氏がどんなボールを投げるのか、さすがの大谷も緊張を迫られそうだ。

女性セブン20241212日号

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