今年5月、靖国神社の「社号標」に赤い塗料で「トイレット」と書くなどし、器物損壊、礼拝所不敬の疑いで逮捕、起訴された中国籍の男性・姜卓君(29)被告。11月29日に東京地裁で開かれた初公判では、動機として日本の「処理水」に抗議する意思があったと明かされた。10年以上日本で生活していた被告だが、労働の場で年下の日本人に暴力を受けていたと主張したのだった——ライターの普通氏がレポートする。【前後編の後編。前編を読む】
「2年間、年下に殴られ続けた」
起訴状によると、姜被告は共犯者の中国人A、Bとともに、5月31日午後9時ごろ、靖国神社の社号標に赤い塗料で「トイレット」と書くことで汚損し、礼拝所に対して公然と不敬な行為を行なった。実行犯だった動画配信者AとカメラマンのBは犯行後出国し、いまだ日本国内での逮捕には至っていない。
事件当日、姜被告はA・B両名の荷物を持って近くの駅で待機しており、現場にはいなかったという。被告人質問では、ほとんどの質問に対したどたどしい日本語で答えた。
弁護人:「捜査機関の取調べで、当初から犯行を認めていましたか」
姜被告:「『100%の事実ではありません』と言いました」
弁護人:「それはなぜですか」
姜被告:「自分は歴史に興味はないけど、日本にとって大事なものと分かってました。なので、右翼に殺されると思ったので。SNSを見たら、Aに500万円、1000万円の懸賞金をかけたなどの投稿も見ました」
検察官の冒頭陳述によると、姜被告は中国で生まれ、2013年に留学のため来日し、日本の大学を卒業した。会社員だった時期もあるが、事件当時は無職だったという。