「暴力団NG」を決めたワケ
出回っている動画を見ると「全日本特殊浴場協会連合会」という関係団体の名前もある。暴力団と関係が深いとも言われてきた特殊浴場の連合会が暴排デモに参加しているのはどういった理由からなのか。その理由について、同連合会の一人はこう語った。
「参加したのは会長の強い意向を汲んでのものです。今年の夏ごろ、会長が代わってから前会長の意思を引き継ぐ形で『暴排』の意識が高まりました。かつて『歌舞伎町の風俗王』とも言われた現会長は、過去に暴力団関係者と懇意にしていた反省から、暴力団との付き合いをやめていこうという方向に舵を切っています。
これまでの特殊浴場店は、みかじめ料など直接的なものから、暴力団関係者がキャッチやスカウトの元締めといった間接的に絡んでいるものまで、半数くらいは『暴力団と関係があるのでは』と疑われる事例がありました。今後はこれをなくしていこうという思いから、デモ行進をしているのです」
かつては暴力団からのみかじめ料として「規模と地域によっては月に30万円から40万円払わなければならなかった時代もあったと聞いている」(連合会の別の会員)という。みかじめ料の支払いを拒否すると数々の嫌がらせが始まり、店の前にゴミや汚物が置かれることもあったようだ。こうした暴排運動の周知のため、今後は男性向けのそうした店が立ち並ぶ地域で、同様のデモを計画しているという。
「暴排条例が施行されてからは露骨な嫌がらせは減りましたが、今でも書面などが送りつけられ『夜道や駅のホームでは気を付けて歩いたほうがいい』というような、脅迫にはならない巧妙な文面が来ることがあります。デモは11月21日に池袋で同様の行進を行ないましたが、今後も繁華街でのデモ行進を予定しています」(前出・連合会の会員)
連綿と続いてきた「大人向けの店と暴力団の関係」は令和に断ち切れるか。