キャリアを重ねた後に手にした家族の存在は、厳しい政治の世界で奮闘する彼女の原動力だった。幸せな日常を一瞬にして奪った炎の猛威。火事の一報を耳にしたとき、猪口邦子参議院議員(72才)は何を思ったのだろうか──。
周囲には強烈な焦げ臭さが漂い、黒くすすけた外壁が猛火を物語る。マンション前には花が手向けられ、手を合わせる人が絶えずやって来る。11月27日、都内にある自民党の猪口邦子参議院議員の自宅が全焼し、2人が死亡した。
「マンションのペントハウス約150平方メートルが、一瞬にして炎に包まれたようです。火元は台所ではなく、自宅の中央に位置する応接室とみられています。石油ストーブなどの火の気がなかったはずの応接室が火元なのは、大きな謎です。警視庁は死亡したのが猪口さんの夫で、東京大学名誉教授の孝さん(享年80)と長女(享年33)だと発表しました。死因はいずれも焼死でした」(社会部記者)
長女は双子で、一家は4人暮らし。次女(33才)は外出中で、猪口氏は事務所で仕事をしている最中の悲劇だった。心配されるのは猪口氏の状態だ。
「あまりに突然の出来事に猪口さんは憔悴しきっています。警察の捜査には何とか協力していますが、表に出てコメントできるような状況ではありません」(猪口氏の知人)
この火災をめぐっては、テレビ局の報道姿勢に批判の声も上がった。
「複数の局が燃え盛る炎の中、ペットボトルを持った女性らしき人物が、火災現場となった屋上付近を歩く映像を放送したのです。映像は一般人が撮影したものでした。その人影が一体誰かはわかりません。ただ、仮に猪口議員の長女だったとしても、今回は警察が事件性なしと発表しているので、この映像を流す必要があったのか……すでにSNS上ではこの映像が拡散され、2人の死を弄ぶような発言も散見される事態になっています」(テレビ局関係者)