非公認候補の選挙資金の流れ
党の資金の私物化も同然
本誌・週刊ポストは候補者(出納責任者)が選挙後に選挙管理委員会に提出しなければならない「選挙運動費用収支報告書」から各候補の選挙資金の出所を調査した。
石破首相が12人の非公認を正式に決定したのは衆院解散当日の10月9日。自民党本部が2000万円を交付したのは中根一幸氏(埼玉6区)、三ツ林裕巳氏(埼玉13区)、平沢勝栄氏(東京17区)、小田原潔氏(東京21区)、萩生田光一氏(東京24区)、細田健一氏(新潟2区)、高木毅氏(福井2区)、上杉謙太郎氏(福島3区=※無所属で出馬)が代表を務める8つの自民党支部で、カネは総選挙の公示後、10月16日の振り込みだったと報じられた(同23日付、『しんぶん赤旗』の報道)。
選挙運動の費用は候補者本人への寄附や自己資金で賄われる。
まず、本誌調査で明らかになったのは、非公認処分を受けて「無所属」で出馬した候補が、「党支部」の資金で選挙を戦っていたという事実だ。
埼玉6区の中根氏の選挙運動費用収支報告書を見ると、収入の600万円はすべて中根氏が代表を務める自民党埼玉県第6選挙区支部から本人への寄附で賄われていた。
埼玉13区の三ツ林氏についても、代表を務める党支部(自民党埼玉県第13選挙区支部)から本人に250万円の寄附が報告書上で確認できた。
政治資金を追及してきた上脇博之・神戸学院大学教授が指摘する。
「石破首相が総選挙で非公認にした12人は、自民党議員だったが、党として応援しないという処分にしたわけです。そんな候補は党支部の支部長を解任すべきなのに、それをしていない。本来、党支部のお金は“党の資金”であり、“支部長個人の政治資金”ではない。それなのに非公認の無所属候補である支部長が、党の金を自分の選挙のために使っているのは全く筋が通らないし、党資金の私物化も同然でしょう」
さらに詳細を調べていくと、石破首相の発言がその場しのぎの“詭弁”だった痕跡を突き止めた。
(第2回に続く)
※週刊ポスト2024年12月20日号