『さとりいぬ』はFODの未来を背負っている!?
かくして、さとりいぬは無事にメジャーデビューを果たした。「ゆくゆくはキャラクターグッズも作りたいし、地上波への進出も狙っています」と信田さん。
夢は限りなく広がるが、現時点では「華々しいデビュー」と言える状況ではない。再生数が爆発的に伸びている……というわけでもない。それだけに、今のうちに作品に触れれば「先物買い」の喜びが味わえるメリットはある。
信田さんは、力を込めて言う。「きっかけさえあれば、大爆発するポテンシャルは十分にあると思うんです。とくに若い女性に知ってほしい。『さとりいぬ』の見かけのかわいさに惑わされて、心の中に徐々に毒気を蓄えてくれたらいいですね。そうなれば、誰もがもっと生きやすい世の中になるんじゃないでしょうか。FODから生まれた作品やキャラクターを広く展開させていくことは、間違いなく大きな意味があります。いわば『さとりいぬ』は、FODの未来を背負っていると言ってもいいでしょう」
それはさすがに大きな荷物を背負わせすぎな気もするが、さとりいぬは間違いなく「何かやってくれそうな気配」を感じさせる存在である。いつの日か『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』に並ぶ巨大コンテンツに成長する可能性も、けっしてゼロではない。
ザビエル山田がデビューしてからの大ファンであり長年の友人として、妄想は無限にふくらむ。さとりいぬには、ちょっと足踏みしたときに、持ち前の悟り癖で「しょせんこんなもんだ。世の中は甘くない」と早々にあきらめてしまわないことを切に願いたい。
(取材・文/石原壮一郎)