お笑い特番が減り音楽特番が増える
例年12月下旬に放送される『M-1グランプリ』以外の特番で話題を集め、高視聴率を獲得しているのは、『アメトーーク年末SP』(テレビ朝日系)や『ぐるナイ』(日本テレビ系)のゴチバトル最終戦など、そのほとんどがレギュラー番組の拡大版(年末特番)。かつては12月下旬に「年に一度の特番」が放送されていましたが、制作費や制作現場の変化などで純粋な年末のお笑い特番そのものが減ってしまったのです。
各局は「12月上旬に主なお笑い特番を編成したあと、12月中旬から下旬にかけてレギュラー番組の拡大版を放送していく」という戦略でほぼ一致。大みそかですら純粋な特番ではなく、『ぐるナイ』『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)というレギュラー番組の拡大版が放送されることからもそれがわかるでしょう。
12月下旬に純粋なお笑い特番が減った一方で増えているのが音楽特番。今年も『ミュージックステーション SUPER LIVE 2024』(テレビ朝日系)、『CDTVライブ!ライブ!クリスマススペシャル2024』(TBS系)、『この歌詞が刺さった!グッとフレーズ』(TBS系)、『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2024~』(日本テレビ系)、『オールスター合唱バトル2024年末SP』(フジテレビ系)、『今年最も愛された昭和の名曲グランプリ2024』(テレビ朝日系)などが12月下旬に放送されます。
もちろん風物詩の『輝く!日本レコード大賞』(TBS系)などもありますし、19日にも『歌唱王~歌唱力日本一決定戦~』(日本テレビ系)を放送。これは昨年あたりから「スポンサー受けのいいコア層(主に13~49歳)の個人視聴率を取りやすいため音楽特番の評価が高まった」ことが背景にありますが、下旬に集中していることがわかるのではないでしょうか。
年末特番は2つの時期に集中する
音楽特番はここまで11月14日に『ベストヒット歌謡祭2024』(読売テレビ・日本テレビ系)、同20日に『テレ東音楽祭スペシャル』(テレビ東京系)、同30日に『ベストアーティスト2024』(日本テレビ系)、12月4日に『2024FNS歌謡祭 第1夜』(フジテレビ系)が放送され、さらに11日にも『2024FNS歌謡祭 第2夜』が予定されています。
音楽特番が“11月中旬から12月上旬”と“12月下旬”という2つの時期に集中していることがわかるのではないでしょうか。もともとお笑い特番にもこのような傾向がありましたが、『M-1グランプリ』の影響力が高まり、制作費削減などの問題も加わって12月下旬の放送が難しくなり、12月上旬に集中するようになっていきました。
その『M-1グランプリ2024』は5日夜にファイナリストが発表され、今年も盛り上がりそうなムードが漂いはじめています。一方でその他のお笑い特番はその多くが12月上旬に放送されるだけに、「思い切り笑いたい」という人はぜひ今の時期を逃さないようにしてください。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。