「下のものが片付けられなく…」部屋が散乱していた理由
しかし、瑠奈被告の大量の持ち物が自宅のスペースを圧迫することについては、ほとんどそのままにしていたようだ。
「20歳くらいですかね。(娘が)『瑠奈は死んだ』と言うようになりました。自分のものを触られるのを極端に嫌がるので、片付けができなくなり、雪が降り積もるように少しずつモノが積み重なっていき、下のものが片付けられなくなっていきました」
瑠奈被告の集めたパワーストーンや古着、UFOキャッチャーの景品などで家の中はあふれ、浩子被告は、「どうするのかなというくらい買っていた」と振り返る。弁護人から「子どもに『触らないで』と言われても、親は問答無用で片付けるものですが」と指摘されたが、母親にはあえてそうしなかった理由があった。
「怒るのが怖かったというより、たくさん持つことで娘の心が安定するのもありました。フリースクールの2つ上くらいの女子の先輩が、理由はわからないんですが、突然亡くなったたことがあって……」
ここで、浩子被告は涙ぐんだ。
「何がきっかけになるか、止めることができず、あっという間に命が失われてしまう。私の中でそれが強く印象に残ってしまって、娘にできるだけ平穏に暮らしてほしいという思いを優先していて、強く『片付けなさい』とかは……これはどうしてもというときは理解してもらうように話しますが……」
繊細な娘の心を守るために、両親は細心の注意を払って生活していた。田村家の散らかりようは、家族のいびつさの表れと言えるのかもしれない。