M-1は「僕らがいちばんふざけていましたから」
──今、M-1シーズンのまっただ中です。今年は記念すべき20回大会なんですよね。近年は東京勢の活躍が目立ちます。東京勢が4連覇中ですから。2人が出ていたころ、2000年代は関西勢の方が断然、優位だったのに。
哲夫:漫才が全国区になったということなんでしょうね。僕らの頃は、漫才は関西弁じゃないとあかんみたいな風潮もありましたから。なので、それはそれで喜ばしいことやと思うんです。けど、関西出身の僕らかするとぼちぼち関西の王者が出てきて欲しいですね。
──近い将来、関西勢でM-1の頂点に立てそうな人たちはいますか?
西田:いますけど、名前はあげられないですね。言ったことで、変な影響が出たら申し訳ないじゃないですか。おもしろいらしいよってなると、どうしても観る人のハードルが上がってしまうので。
──先日、関西の大御所漫才師の方が「最近のM-1は、漫才意外のところで演者がふざけ過ぎじゃないか」と苦言を呈していたんです。M-1の格が下がるようなことをすべきではない、と。
西田:僕らがいちばんふざけていましたから。何も言えませんね。
哲夫:今やったら僕らはふざけてないかもしれないです。みんなきちんとしてるから、おもしろいんであって。昔、冬のオリンピックでスノーボードの国母和宏選手が選手団の正装をちょっと着崩していて、バッシングを浴びましたよね。あのイメージに近いかな。オンリーワンやから、ある種の主張になる。みんな着崩していたら、僕はむしろ逆にきちんと着たい方なんで。
──3度目の上方漫才大賞も目指すのですか。
哲夫:もう、いろんな人に獲って欲しいかな。
西田:2回目でもけっこうな重圧なんですよ。絶対にスベれない的な、ね。中川家さんとかやすとも(海原やすよ・ともこ)さんも2回獲ってるんですけど、2組が出てきたときのお客さんの沸き方がえげつないんで。名前が出ただけで、わーっとなって。本人が出てくると、さらに歓声があがる。うちらなんて出ていっても、おー、くらいなもんですよ。同じ2回受賞でもぜんぜん同列じゃない。だから中川家さんややすともさんたちに早く3回目を獲って欲しいなというのはあります。
(了。前編を読む)
◆取材・文/中村計(ノンフィクションライター)