「返金されたのを忘れたまま、3年近くロッカーに入っていた」
カネが返金されたのに、「支払った」と処理していたのだから、12万円は鳩山氏本人の“裏金”になった可能性がある。政治資金問題を追及している上脇博之・神戸学院大学教授が指摘する。
「選挙運動費用収支報告書は公選法で提出が義務づけられている。すでに時効(3年)ですが、これは『虚偽の記入をしたとき』に該当します。『3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する』と罰則規定もある。
金額が小さいと思う人もいるかも知れませんが、公選法は民主主義を維持する選挙の公正さを求めた法律で、判例を見れば、時給1000円で運動員を雇っただけでも立件されており、お金を払う約束をしただけでも摘発されています。公選法に照らせばこの12万円はかなり重い法律違反です。
さらに、政治のお金は裏金を生む体質があるから事実を正しく記載しなければならない。今回の12万円は明らかに裏金になっている」
鳩山事務所にぶつけると、返金の事実を認めた。選挙の出納責任者の秘書はこう説明する。
「確かに大場さんから12万円の返金を受けました。受け取った担当スタッフはそのうちに私に返そうと考えてのんびりしていて、数か月後に私は、そのスタッフから『大場さんから返してもらいましたよ』と封筒ごと渡された。
(選挙運動費用収支報告書の)訂正処理をしないといけないと考えていましたが、いつの間にかそのまま失念していました。この問い合わせを受けて思い出して調べたら、国会議員会館の私のロッカーに12万円が封筒ごと残っていました。私の責任です。申し訳ありません」
12万円を預かったスタッフは忘れていて数か月後に秘書に戻し、担当秘書も忘れたまま3年近くロッカーに入れていたというのだ。にわかには信じがたい説明だが、公選法では、選挙運動費用収支報告書の訂正が可能なのは3年間のため、今からでは訂正できないという。
所属議員がこのような選挙資金の扱いをしていては、自民党が政治改革を叫んだところで説得力は乏しい。
※週刊ポスト2024年12月27日号