野球選手には競馬好きが多いが、千葉ロッテマリーンズの吉井理人監督は別格。馬主の資格を持ち、種付けまでこだわる本格派だ。競馬の夢の祭典「有馬記念」を前に、名手・武豊騎手とも交友の深い作家の本城雅人氏と吉井氏が対談。今年のレースを占った。【全3回の第3回】
馬名の由来は現役時代の決め球
本城:吉井さんはメジャーに行く前からずっと馬主になりたいとおっしゃっていましたよね。馬主資格を取られたのは?
吉井:2013年ですね。ファイターズのコーチをやめて、もう野球界に戻る気がなかったので馬主を楽しもうと思ったんです。
本城:2019年に初めて勝った時のジョッキーが武さんですね。
吉井:マゼというタイキシャトル産駒の牡馬。
本城:乗ってもらったのも初めてですよね。
吉井:京都競馬場へ行って一緒に口取り写真も撮りました。初めてお会いしてから20年ほどたっていて、武騎手も「まさかこんな日が来るとは」と感慨深げでした。
本城:吉井さんはセリで大牧場の馬を買うのではなく、日高の牧場で繁殖牝馬を所有し、種付けも自分の希望でやっている。
吉井:最初に持った馬がダイワメジャー産駒のフォーシームという牝馬。メイショウサムソンの妹です。
本城:JRAの馬名の由来という欄に「オーナーの現役時代の決め球」ってある。ホントはえげつないシュートが決め球だったのに(笑)。
吉井:中央では勝てなかったけど、繁殖にあがって最初に生まれた子が、いま現役のリジン、漢字で書くと「理人」です。2022年に地方でデビューして5連勝。それで中央入りして最初のレースが今年の3月でした。仲のいい幸(英明)騎手に乗ってもらって勝ったんです。
本城:メジャー時代の口座にお金が一部残ってて、馬主を始めたんですよね。
吉井:もうとっくになくなってるけど、馬主はやめられませんね。