ヤツらは必ず現場を見張っている
さらに幹部は「実行に移す前に現場に集まった実行犯役を全員逮捕できれば、必ずその中の誰かはその上にいる指示役とつながっている。秘匿性の高いアプリを使っていたとしても、警察は彼らのやり取りを入手して、それを解析することができる」という。だが「それでも首謀者らは捕まらないよう壁をいくつも作っているから、指示役にたどりつくのは難しい」ともいう。
「もし先にターゲットがわかるなら、警察官が先回りして2~3人、家の中で待機できればいいんだが」と幹部はいうが、集められた段階で強盗に入ることを告げられるケースもあるといい、それが難しいことは警察も想定しているだろう。
何度も修羅場を潜り抜けてきたという幹部は「自分だったら」と前置きし、「強盗に入った家の中で何が行われているかなんて、LIVEで動画を送らない限り、指示役らにはわからない。自分だったら、中で実行犯らと話して、強盗したと見せかけて家の外に出て『現金はこれしかなかったが、どこに送ればいいか』と連絡させるね」と話す。実行犯らを諭すのか脅すのか、そこのところはわからない。
警察が現場で実行犯らを検挙するのではなく、強盗したと見せかけ、実行犯らを外に出すことが必要だと幹部はいう。その理由は「ヤツらは必ず現場を見張っている」から、外に出て連絡や指示を出している人間が可視化されるからだという。「この手の事件を起こす時は、誰かが必ず現場が見える所から様子を伺っているものだ。警察が実行犯を逮捕しようと駆け付ければ、事件は未然に防げるが、その先は難しい。実行犯らと闇バイトのスカウトらとのやり取りは入手できても、連絡役が誰かを特定するのに時間がかかり、上のヤツらには逃げられる。その場でどこに振り込めばいいか連絡させることができれば、そのまた上につながっているヤツにたどり着ける」(幹部)
捜査員が単独で動くことに対して危険性を指摘する声もあり、「まぁ警察にそこまでできるかわからないが」という幹部だが、「強盗を企むようなヤツらはなんとかしなければね」と頷いた。