失脚したくないから
田原:安倍首相までは、日本をこうしたいという考えがあった。賛否両論あったけど。でも、岸田(文雄・前首相)以降はその考えもない。
古市:それが問題ですよ。なぜ総理大臣にまでなる人に目的がないんですか。失脚覚悟で「これやりたい」と言うもんじゃないですか。
田原:日本人の多くは正しいか否かではなく、損得で考える。今の国会議員の最大の目的は選挙に当選すること。正しいか間違っているかは関係ないから裏金がいっぱいある。日本の政治家、とくに自民党はエネルギーの90%くらいを選挙に勝つことに使っている。
古市:この前、鳥取に行ったんです。石破さんの地元。駅前から商店街が続いていてほとんどシャッター通り。ほぼ唯一賑わっていたのが石破事務所でした。新幹線も通せなかったし、産業は生み出せず、利益誘導もできなかった。よくここで地元の人は石破さんを支持していると思ったけど、石破さんは選挙には強い。それなら日本をどうするか考える時間も余裕もあったはずでしょう。
田原:石破は総裁選の間はああしたい、こうしたいというのがあった。でも総裁になったら全部なくなった。失脚したくないから。
古市:でも、どうせ人気がないからいずれ失脚するわけじゃないですか。
田原:そんなことないよ。現に失脚していないじゃん。夏の参院選でもし負けたら石破は失脚だけど。