競馬ファンなら誰でも夢見る穴馬券。今年の中央競馬は開幕週から大穴が頻発した。獲得のための戦略について、競馬ライターの東田和美氏が考察した。
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2024年に行なわれた平地3327レースのうち、単勝オッズ50倍以上の馬が3着以内に入って馬券対象になったのは1着100回2着197回3着341回。このうち3着以内に2頭以上の人気薄が絡んだレースがあり合計で614レース。これら人気薄の馬を馬券圏内に持ってきた回数が最も多かったジョッキーは関東の菊沢一樹騎手だった。
デビュー9年目の昨年は25勝2着30回3着49回というキャリアハイでリーディング42位。単勝50倍以上での1着は2回だけだが、10勝が6番人気以下。2着が7回、3着が13回と、人気以上の結果が圧倒的に多く、勝てなくても一つでも上の着順へという思いが結実。2位以下を大きく引き離している。ちなみに2021年は8回、22年は11回と穴男化の兆しはあったが23年は5頭だけだったので、何かを掴んだと言えそうだ。今年の活躍に期待したい。
次に多かったのは2年目田口貫太騎手の15回。中でも光るのが100倍以上の馬を7回も圏内に持ってきていること。2024年開催最終日のペテルギウスステークスでも13番人気106倍のタイセイドレフォンを3着に持ってきた。デビュー年は100倍超1回だけなので、こちらも大躍進といえる。
この集計を始めて今年で3年目だが、大穴騎手はけっしてその1年だけの結果ではないということがわかる。リーディング上位とは別の特殊なランキング常連を形成しているといってもいい。ここで名前をあげることは避けるが、勝利数や連対数、騎乗数が同じような実績の中堅・若手でも大きい馬券とあまり縁のないジョッキーも多いのだ。
例えば2022年に単勝50倍以上の人気薄を馬券圏内に持ってきた回数がトップだった津村明秀騎手は、昨年のヴィクトリアマイルで単勝208倍のテンハッピーローズを勝たせたのを始め単勝万馬券2回。2023年の「穴男」だった石川裕紀人騎手は昨年も人気薄を圏内に持ってくること12回、もう一人の「穴男」原優介騎手も11回と共にベスト10入り。その他昨年までに名前を挙げた秋山稔樹騎手、斎藤新騎手、杉原誠人騎手もかなりの頻度で穴馬券を演出。何かを「持っている」と考えていい。また、昨年新たに穴騎手の素養を感じさせたのは小沢大仁、角田大和、木幡巧、小林勝大、西塚洸二の各騎手。今年の激走を期待したい。
若手騎手が多い中、和田竜二、幸英明両ベテラン騎手が人気薄に騎乗した時も侮れない。とくに幸騎手は単勝オッズ50倍以上でなくても人気薄を馬券圏内に持ってくることが多く、三連単の払戻金が50万円超だったレースでも15回馬券に絡んでいた。