“地獄の家”の全貌
今回の公判で、「死体損壊および死体遺棄、現場の状況」として法廷大型モニターに映し出された証拠を見た高橋氏は、その異様な光景を次のように語る。
「家の中は、おびただしい量のゴミと事件に関する証拠品が散らばっていました。浩子被告の清楚な風貌、修被告の朴訥(とつ)とした風貌からはまるで想像できない“ゴミ屋敷”でした」
また、家のいたるところに“メモ”が貼られていたといい、「親子関係のいびつさを表していた」と高橋氏は語る。
「居間に置かれたテレビに貼られたメモには、『お嬢さんの時間を無駄にするな。私は奴隷です』とあり、台所にある食器棚の側面にあったメモには『奴隷の立場わきまえて無駄なガソリンや金を使うな。勝手に無駄なものにお金を使わないこと』と書かれていました。
さらには、食卓テーブルの上には『何か指摘される前に奴隷は頭を低くすること(土下座すること)』『何か起きたときは誰が主人であるか思い出すこと』と書かれた黄色の紙が置かれていました」
そのなかで、特に不気味な存在だったのが1階洋室の天井に吊るされた“赤い布”だ。高橋氏が言う。
「玄関ホール隣のドアを開けると、洋室の天井から赤い布が吊るされていたとのことです。しかし、この赤い布については『なぜ吊るされていたのか』『用途はなんなのか』といった説明がされることはありませんでした」(高橋氏)
これだけのことが明かされてもなお、謎が多い“地獄の家”。近年稀に見る猟奇的なこの事件、公判は引き続き行われる。