東京都知事選で選挙のあり方に一石を投じ、「石丸現象」を引き起こした“ネット選挙のトリックスター”こと石丸伸二氏が新党「再生の道」を立ち上げ、今年夏の東京都議選に挑むと表明した。
「政治屋を一掃したい。当選したら2期8年を上限とする。それ以外の縛りはありません。私は出馬しません」
1月15日の新党発足会見で石丸氏はそう語ったが、直前に起きたのが会見ドタキャン騒動だ。もともと会見は都庁記者クラブの主催で予定されていたが、日時と場所がネットに流出したことから、石丸氏が「誰が来るかわからない状況は種々のリスクが高いと判断しました」(Xでの説明)という理由で中止し、改めて石丸後援会の主催で入場者をチェックできる形で開かれたのだ。ネット世論の影響力の大きさとリスクをよく知る石丸氏らしい“危機管理”が働いたようだ。
石丸氏といえば、広島県の安芸高田市長を辞任して昨年7月の東京都知事選に出馬。当初は泡沫候補と見られていたが、あれよあれよと支持を伸ばし、街頭演説をすれば人だかりができ、立憲民主党の蓮舫氏を上回る約166万票を獲得(次点落選)して“石丸現象”と呼ばれた。
その手法は徹底したネット選挙。ネットでボランティアを集め、パソコンの扱いに長けた支援者が、どの地域の掲示板にポスターを貼れているかがわかるソフトをつくって、都内1万4000か所の掲示板に素早く貼り終える機動力を見せつけた。
“選挙の神様”と呼ばれ、都知事選で石丸氏の選挙参謀を務めた選挙プランナーの藤川晋之助氏も、「これほど選挙ツールとしてのネットの威力を見せつけられたことはない」と驚くほどだった。その石丸氏が、今度は新党を結成して都議選に複数の候補を立て、より組織的なネット選挙の“実験”に挑戦しようというのだ。