第二次トランプ政権が始動する。中国への関税引き上げなど「対外強硬派」を掲げる大統領を支える閣僚もまた“強硬派”とされる人物がずらりと並ぶ。だが、彼らをひと括りに見てしまうと、真の姿を見誤るかもしれない。彼らの経歴、過去の発言を見るとトランプ大統領の“懐の深さ”も窺えるのだ。トランプ大統領をいまさら聞けない常識から、知っていれば“通ぶれる”ネタなどをわかりやすく解説する『ビッグコミックオリジナル』で好評連載中のジャーナリスト小川寛大氏による『アメリカ大統領選を10倍面白く読む!』を公開する。
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1月20日にアメリカ合衆国大統領へ正式就任したドナルド・トランプ。そんな彼を支える政権の閣僚たちの顔ぶれもトランプ同様にいろいろ個性的だ。
例えばトランプの持つ“過激右派”のイメージそのままにとでもいうのか、彼の外交政策をいろいろと方向づけることにもなるのだろうマイク・ハッカビー(駐イスラエル大使)やエリス・ステファニク(国連大使)らは、音に聞こえた親イスラエルのタカ派である。特にハッカビーなどは「パレスチナ人などというものは存在しない」といったことを公言する人物で、いったいトランプ政権が本格稼働し始めたら、ガザ情勢はどうなってしまうのかと心配する人々も多い。
そうした懸念は実にもっともなものだし、トランプ政権がある種の強硬タカ派的な姿勢をいろいろと見せながら運営されていくのだろうことも、疑いの余地がない。しかし、その閣僚内定者らの顔ぶれをよく見ていくと、「おやっ?」と思わされるような面々がいることも、また事実なのだ。
例えばトランプ政権で副大統領を務めるのは、J・D・バンス(共和党上院議員)。また、政権の要とも言える存在感を持つ国務長官ポストには、マルコ・ルビオ(同)が就く。この2人もアメリカ政界ではごく普通に“ゴリゴリの右派”として知られる人物なのだが、実はもう一つの共通点が「カトリック信徒であること」だ。