1月13日に発生した最大震度5弱の宮崎県・日向灘地震(M6.6)。気象庁は発生直後に「南海トラフ地震」の評価検討会を開催。昨年8月に起きた同地震では初めて「巨大地震注意」が発表されていただけに、新年早々、緊張が走った。
実は、この地震を発生直前に予測し、危険性を呼びかけていた人物がいる。地震科学探査機構(JESEA)主席研究員兼CTO(最高技術責任者)である中国人研究者の郭広猛博士だ。
本誌・週刊ポスト(2024年12月23日発売号)に掲載したJESEAの「MEGA地震予測」では、九州から四国にかけて地震の前兆を観測したとして、この地域を危険度2位と位置付け、「要警戒」を促していた。郭博士が語る。
「今回の地震は被害がほとんどなく、幸いにして事なきを得ましたが、今後『1か月以内』に別の地域でもM6クラスの地震が起きる可能性が高いと考えています。それが能登半島を中心とする『北信越地方』と紀伊半島を中心とする『近畿地方』です」
「MEGA地震予測」は、国土地理院が全国約1300か所に設置する電子基準点のGPSデータを使った地表の動き(長期的な「隆起・沈降」など)の分析に加え、衛星画像データの解析などによって地震を予測している。郭博士が続ける。
「昨年11月下旬、能登半島から紀伊半島までの広い範囲の地表から、衛星画像データの解析で九州・四国と同じ地震の前兆と思われるガスの噴出を確認しました。また、日向灘地震前は九州全体が大きく沈降していましたが、現在、紀伊半島も全体的に沈降しています。能登半島は1年前の地震以降、北部の隆起が拡大し、南部の沈降が進んでいるため、境目に新たな歪みが生じています」
南海トラフ地震をはじめ、警戒を怠らないことが肝要だ。
※週刊ポスト2025年1月31日号