搭乗口で激高した初老の男は、「うるさい乗せろ! なんでアナウンスがないんだ!」などと言い放って蛮行に及んだという──。1月13日の夜、東京・羽田空港内で、航空会社の女性職員を平手打ちし、全治1週間のけがを負わせ、暴行容疑で現行犯逮捕されたのは、医師の福田克彦容疑者(58才)。
「出張帰りの福田容疑者は飛行機に乗り遅れたようですが、職員に『なんでアナウンスがないんだ』などと因縁をつけ、口元や耳元を複数回ビンタしたとみられます。被害に遭ったのは入社数年目の若手社員で、顔を殴られ衝撃で倒れ込んだとか。理不尽な暴力に遭って、本当にかわいそうです……」(空港関係者)
その日、福田容疑者は地元の島根県へと帰る予定だったという。
「島根に帰るための便はサテライトという別棟に設けられたゲートを利用することになっており、たしかに、通常よりも保安検査場から遠く離れたところに移動する必要がありました。しかし、搭乗予定者にはメール配信や空港内の電光掲示板できちんとアナウンスをしています。何より、ほかの乗客は時間通りに搭乗しており、乗り遅れたのは、容疑者の自己責任としか言いようがありません」(航空会社関係者)
近代西洋医学にと補完療法を組み合わせた「総合医療」に関心
すでに釈放されたという福田容疑者。年若い女性に突如、暴力を振るった容疑者は、地元では地域医療を支える名士の顔を持つ。
「隣県の国立大医学部を卒業後、いくつかの病院で修業し、現在は父が開業した松江市内のクリニックで副院長を務めています。
もともと内科のクリニックでしたが、克彦さんがかかわるようになった20年ほど前から診療領域を徐々に拡大。克彦さんは『統合医療』に関心があるようで、最近では自身のSNSでも、最新の治療方法や海外出張の様子を華麗に発信しています」(地元の知人)
統合医療とは、近代西洋医学と、ヨガや瞑想、ハーブ療法といった補完療法を組み合わせて治療にあたるもので、多種多様なものが存在する。
ただ、補完療法の中には、“手かざし”など科学的根拠に乏しいものもあり、あくまで近代西洋医学と組み合わせることが重要だ。この点は厚生労働省も専門サイトを立ち上げ、丁寧に情報発信をしている。
「コロナ禍以降、克彦さんの主張は少しずつ先鋭化し、特にワクチンに関しては攻撃的な言論も目立つようになり、周囲では心配する声もあがっていました」(前出・地元の知人)
コロナワクチンを巡っては、いわゆる“陰謀論”的な言説も飛び交い、一部の妄信的な人たちがいることも報じられている。
「克彦さんは国会議員の中でも反コロナワクチンの急先鋒である原口一博議員のライブ配信にたびたび参加し、原口議員が国内のワクチンメーカーから訴えられた件では、かなり憤慨していました」(前出・地元の知人)
実際、反ワクチン活動は福田容疑者のライフワークのようで、暴行事件で送検された後も、SNSでは真っ先にコロナ後遺症についての近著を宣伝している。
1月20日、福田容疑者の自宅に電話すると、親族の女性が応対した。