「“蔦重”が奮闘する吉原編と、陰謀渦巻く江戸城編との2本立てで作られていて、まるで違うドラマのような雰囲気に包まれています」。NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の関係者は、撮影現場の様子をそう明かす。江戸時代の遊廓・吉原を舞台に、名だたる浮世絵師を世に送り出した“蔦重”こと蔦屋重三郎の波瀾万丈の生涯を描く同作。老中・田沼意次を演じる渡辺謙(65才)は、江戸城編で石坂浩二(83才、松平武元)や相島一之(63才、松平康福)らとの駆け引きを繰り広げている。
「吉原編と江戸城編は別々に撮影が進められているため、双方の出演者はほとんど顔を合わせていないそうです。江戸城編は年配の男性が多いので、渡辺さんは“あでやかな吉原の現場に行きたいなあ。こっちは腹のさぐりあいみたいな場面ばかりだからな”と苦笑していました」(前出・NHK関係者)
蔦重を演じる横浜流星(28才)は、大河ドラマ初出演にして初主演だ。大きなプレッシャーがかかるが、大御所俳優やベテラン勢が彼をサポートして現場を盛り上げているという。中でも、渡辺の存在は大きいようだ。渡辺は1987年、『独眼竜政宗』で大河ドラマの主役を演じた。
「若手だった渡辺さんは、共演者から“その演技で主演かよ”と厳しい言葉をかけられたこともあったそうです。当時、渡辺さんはいまの横浜さんとほぼ同年齢でした。若くして主演を務めることへのプレッシャーと孤独感を知っているからこそ、渡辺さんは何かと横浜さんのことを気にかけています」(芸能関係者)
“枠にはまらず、好きなようにやろう”
渡辺が演じる田沼は、江戸中期の経済政策を担った老中だ。将軍に次ぐナンバー2の役職で、作中では、傾きつつある吉原を復興させるべく策を練る蔦重に、経済の観点からアドバイスを送る。その関係性は、現実でも同様のようだ。渡辺と横浜は、今年6月公開予定の映画『国宝』では親子役で共演している。同作の撮影中に大河主演のオファーが横浜に舞い込み、まず相談したのが渡辺だったという。
「“枠にはまらず、好きなようにやろう”というアドバイスがあって、横浜さんの不安は一気に消し飛んだそうです。大河での共演シーンはいまは多くありませんが、撮影が一緒になるとき、横浜さんはずっと渡辺さんにくっついて話をしたり、芝居を見学しています」(ドラマ関係者)
渡辺の声かけで食事に行くこともあるという。
「若い俳優にとっては『世界のケン・ワタナベ』ですから、臆してしまいますよね。だから、渡辺さんの方から気さくに話しかけるようにしているそうで、存在感は“裏の座長”です。
渡辺さんは料理が得意で、2011年の震災後に宮城の気仙沼にオープンさせたカフェでは、自らキッチンに立っていました。べらぼうにうまいと評判です。最近はよく中華料理を作っているそうで、キャスト陣にも手料理を振る舞って接待しているといわれています」(別の芸能関係者)
1月5日の初回放送が、NHKプラスでの配信において過去最多の視聴数を記録するなど、好調なスタートを切っている『べらぼう』。その陰にはベテラン俳優の貢献もあるようだ。
※女性セブン2025年2月6日号