黒人やヒスパニックのトランプ支持者は…
グラントさんがそう語った就任式前日の19日、トランプ氏はワシントンのスポーツアリーナで就任式前の大規模政治集会を開催。その場で不法移民問題を念頭に置いて、「明日の日が沈むころには、わが国への侵略は止まっているだろう」とぶち上げた。
この集会では、収容定員2万人の会場にとても収まり切らない規模のトランプ支持者がつめかけ、あふれかえった赤い帽子の彼らによって、まるで市街地が占拠されたような状況となった。
一方、市内では反トランプ派の抗議活動も散発的に行なわれていたが、“勝者の余裕”か、多くの支持者は笑みを浮かべるのみ。こうしたトランプ支持者たちの大半は、中高年世代の白人男性だった。
そんな中に確実にいた、わずかな黒人やヒスパニック、アジア系などの人々に声をかけると、「あまり話すことはない」と目を伏せる。2024年の大統領選では、世論に表われない「サイレントマジョリティ」が事前予想を覆す要因のひとつとなったが、これが“隠れトランプ派”なのか。
アメリカの分断の根はいまだ深いと言えるのかもしれない。
取材・文/小川寛大(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2025年2月7日号