中居正広と女性のトラブルを巡り、フジテレビの港浩一社長らが1月27日に“やり直し会見”を行った。191媒体437人の報道陣が集結。会見中、一部の報道陣から怒号が飛び交うなど、波乱の会見となった。作家の甘糟りり子さんはどう見たのか。
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十時間以上にも及んだフジテレビの記者会見。長時間の記者会見としてはギネス第2位だそう。中継を見ているこちらも、途中から、お手洗いと食事はどうするのか気になって仕方がなかった。それはさておき、フジテレビは役員に一定数の女性を入れた方がいいのではないだろうか。ずらりと並んだスーツ姿の中年&老年男性、司会者も中年男性という様子を見て、そう思った。
特に今回のように女性が被害者である場合、男性の視点だけでいいわけがない。無理がある。挙手をして司会者が質問者を決めるスタイルだったが、やっと女性に質問する順番が回ってきたのは開始から約一時間半後。ことの発端は中居氏の「女性トラブル」である。見え方を考えたら早い段階で女性からの質問を受けた方が得策だと普通は考えるはずだが、おじさんたちだけで物事を回す癖がついているとそういう考えにも辿りつかないのだと思う。まあフジテレビに限ったことではないけれども。
「被害者のプライバシー、体調優先」は言い訳にしか聞こえない
「紙芝居会見」((c)文春)の反省からだろうが、フリーの記者もネット媒体も入れ、時間制限をしなかったのは良かったが、結局のところうやむやだったことの多くはうやむやのまま終わった会見という印象を持った。
SNSでは主にフリージャーナリストたちの質問という形を借りた主張語りへの批判も少なくない。主張語りに走ったのは女性だけではないが、女性記者に対しては「甲高い声」で「ヒステリック」に「わめく」という紋切り型の表現が多用されている。女性男性を問わず、あまりにも長く、要領を得ない主張語りには私もうんざりした。しかし、ああした会見では、東京新聞の望月記者のような相手の探られたくない腹を探るためにぐいぐい切り込んでいく人も必要ではないだろうか。記者会見はグループインタビューじゃないんだからね。
記者たちの強い口調や主張語り批判に流されて、結局、何のための会見だったのかが曖昧になってしまっている。「被害者のプライバシー、体調優先」はもちろんではあるが、フジテレビはそれを言い訳にしているようにしか聞こえない場面が多々あった。