嘉納修治会長と港浩一社長の辞任が発表され、時間制限なし、映像撮影可能、参加メディア制限なしで行われたフジテレビの“やり直し会見”。午後4時から、プライバシー保護の観点から10分遅れで流され、ゴールデンタイムになっても『ネプリーグ』や月9ドラマ『119エマージェンシーコール』など通常の番組を飛ばし、実に10時間超えで行われるも、視聴者や広告主の信頼回復には程遠い結果となってしまった。
「皮肉なことに、視聴率だけは前週の同時間帯の約2倍の数字を獲得しました。特に日付が変わった28日の午前0時25分から30分間の平均世帯視聴率は7.5%で個人視聴占拠率は50.5%と異例の高さになりました(ビデオリサーチ調べ・関東地区)」(ワイドショースタッフ)
カメラや記者の人数を制限した一度目の会見、そして、社員への説明会を経ての二度目の会見だったが、社内からは幹部への怒りや絶望の声がさらに強まっているという。
「まず聞かれるのは、どういうテンションで番組作りをしたらいいのかという声です。次に、4月の改編期を前に、自分が担当している番組が続くのか否か。スポンサーはいつ戻ってくるのかなど、社員は不安を口にしています。子供さんがまだ小さい社員からは、『お父さんやお母さんがフジテレビの社員』ということを理由に学校で子供がよそのお子さんからからかわれたりするという話も聞きますし、『これから自分や家族の生活はどうなってしまうのか』という切実な声も聞かれますね」(フジテレビ社員)
フジ“御用達”制作会社がピンチ
だが、それよりも深刻なのは、フジテレビ御用達の制作会社社員や、フリーランスのディレクターや出入りの放送作家たちだという。
「もう何年も業績悪化の一途を辿っているフジテレビでは、番組制作の予算がギリギリまで削られているのです。3割カットと言われたのは数年前でしたが、今回の一件で、それがさらに少なくなる可能性があります」(制作会社プロデューサー)
在京テレビ局には連結子会社や、“御用達”の制作会社が近隣に存在し、フジテレビの場合は『共同テレビジョン』がもっとも有名だ
「これまでにもドラマやバラエティを多数制作しており、フジテレビから“共テレ”に出向したり、異動したりする社員も多いですね。かつてはアナウンサーも採用していましたし、フジテレビを辞めた女性アナウンサーのマネジメント事業もありました」(同)
そんな共テレの次に思い浮かぶ制作会社は『NEXTEP』だろう。
「以前は『日本テレワーク』という社名でフジテレビの情報バラエティ番組を数多く手がけていました。ですが、2007年、『発掘!あるある大事典Ⅱ』の捏造事件により番組制作の受注が落ち込み、『~テレワーク』から業務移管し、大半のスタッフが『NEXTEP』に移籍しました。2011年には『~テレワーク』を吸収合併しています。現在、『NEXTEP』はフジテレビから徒歩5分程の場所にある複合施設『ダイバーシティ』に本社を構えています」(バラエティ番組スタッフ)
役員にはフジテレビの番組制作に携わった多くの社員が就いており、現在の代表取締役社長・堤康一氏だ。
「堤さんはずっと情報制作局の番組を担当し、『FNNス―パータイム』や『めざましテレビ』『FNNスーパーニュース』などを高視聴率番組へと押し上げた功労者です。そして、奥さんは安藤優子さんなんです。2015年に堤さんが製作総指揮者となった『直撃LIVEグッディ!』のMCに妻の安藤さんを抜擢したときには局内が相当ザワつきましたね。裏の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)に対抗すべくスタートしたのですが、芸能ネタにまるで興味を示さない安藤さんが『バイキング』からの“いい流れ”を止めてしまっている…と、もっぱらの評判でした。
同年、堤さんが『NEXTEP』の社長になったのことは、『~グッディ!』の低視聴率も関係していたのではないでしょうか。局内では『飛ばされた』という声もあがっていましたね。妻をメインキャスターにしてしまっているのですから、堤さん本人も番組スタッフも安藤さんに意見を言いづらい。ネット民も安藤さんよりも、三田友梨佳アナウンサーや倉田大誠アナウンサーのコメントに注目することが多く、実際、ネットニュースには連日、ミタパン(三田アナ)の鋭いコメントが記事化されていました」(情報局スタッフ)
そんな『~グッディ!』は2020年9月で終了。同枠はまた、いわゆる、ドラマの“リピート枠”(再放送)に戻っている。
「そのほうがまだ数字が獲れるのです。『ス―パーニュース』でF2層(35歳~49歳の女性)に人気があった安藤さんですが、午後のワイドショーのメイン視聴者であるF3層(50歳以上の女性)にはウケが良くなかったということです。とは言え、“功労者”ではあるため、『~グッディ!』終了後、通常ならば『フォロー』といって、新たな番組が用意されるものなのですが、安藤さんにはそれがなかった。時折、『ワイドナショー』に出るぐらいでしたからね」(同)