相撲部屋「再編」の時代へ
伊勢ヶ濱親方や照ノ富士の側にはどのようなスケジュールの考えがあるのか。照ノ富士は105ある年寄名跡を取得しておらず、横綱経験者は5年間、四股名のまま親方になれるという特権を利用して照ノ富士親方を襲名した。伊勢ヶ濱一門関係者が言う。
「伊勢ヶ濱部屋の後継者となることが決まっており、7月に師匠の伊勢ヶ濱親方が定年を迎えると同時に、『伊勢ヶ濱』の名跡を継承して部屋を持つことが固まっているという。部屋の宝富士が『桐山』を取得しており、これを借りるかたちで伊勢ヶ濱親方が『桐山』の名跡を襲名して参与として再雇用される。宝富士が引退したら退職してNHK大相撲中継の専属解説者になる予定とされます」
現在、伊勢ヶ濱部屋は錦糸町駅近くの江東区に部屋を構えているが、照ノ富士親方には新たに部屋を建設する構想があると前出・若手親方が言う。
「相撲の聖地・両国で現在更地となっている土地を確保し、すでに建設会社も決定して着工できる状態にあるという。部屋継承と同時に引っ越すと見られている。130坪のほどの土地で、名門・時津風部屋にほど近い場所だといいます。大規模な構想で、建物は地上6階程度の相撲部屋と親方の住居も含めた複合ビルとする見通しで、土地取得費と建築費で総額25億円クラスのプロジェクトになるそうです」
現在、伊勢ヶ濱部屋が抱える事情は複雑だ。元横綱・白鵬が率いる宮城野部屋を預かっているが、鳥取事件(2017年にモンゴル出身力士らの会合で起きた暴行問題)で宮城野親方と照ノ富士親方の関係は最悪だといわれている。
「照ノ富士は自身の部屋で宮城野部屋を預かることに後ろ向きで、そうなると一門理事である元大関・魁皇の浅香山親方が預かることになるのか、前倒しで部屋の復活が認められることになるのかわからないが、3月の理事会で議題にあがるとみられている。伊勢ヶ濱親方と同学年にあたる大嶽部屋(元十両・大竜)や常盤山部屋(元小結・隆三杉)の師匠たちも定年が近づいている。角界の再編成が進んでいくとみられている」(前出・若手親方)
豊昇龍の昇進によって横綱が空位となる危機を脱したが、相撲協会設立100周年の記念の年にまだまだ問題は山積しているようだ。