弁護人「あなたは病院に行かなくてもいいと思っていたのか?」
浩子被告「夫が精神科医なので、よほどなら(病院に)連れて行くだろうと思っていました。ゾンビ妄想はあっても日常生活は支障なかったので、その辺りの対応も悪ければ、夫が言うと思っていました」
弁護人「将来的に親のほうが先に死んでしまうと思うが、瑠奈被告のことはそのままでいいと思っていたのか?」
浩子被告「引きこもりも長いので、何かしたいと能動的な言葉が出たら、させてあげようと思っていました」
娘の将来を思って、浩子被告は、「こういう選択肢もあるよ」と伝えるために就労継続支援施設のパンフレットを用意していたが、実際に本人に渡すことはなかったという。
唇の左右を傷つけた理由は
裁判では、瑠奈被告の自傷行為についても話題に上った。自分自身を傷つける娘について語るうちに、浩子被告は涙声になっていった。
浩子「首だったり、あと、よく切っていたのは……(泣く)……口の端から耳にかけて傷をつけていました」
まるで口裂け女にでもなろうとするように、瑠奈被告は唇の左右を傷つけた。自身に入り込んでいる別人格“ジェフ・ザ・キラー”は口が裂けており、彼と同じ顔になるための行為だったという。
弁護人「それを見てあなたは?」
浩子被告「初めて見たときに泣いてしまって、すると瑠奈が『なぜ子でもないのに泣く?』と言われて、次から泣かないようにしました」
あくまで“日常生活に支障はない”と捉えて、多少強引にでも娘を病院に連れていくことはしなかった。事件が起きた今、両親は自分たちの判断ミスを痛感しているのだろうか──。