岩屋毅外務大臣(時事通信フォト)
警備が厳重で関係者以外は立ち入れない場所なのに、なぜか見知らぬ人が入り込んでいた。そんな、ありえないことが起きることがある。岩屋毅外務大臣が外遊先から議員宿舎に帰宅したところ、面識がない女性と鉢合わせしたというのも、その類いの事件だ。臨床心理士の岡村美奈さんが、そこを日常的に利用する人や、警備を担当する人たちが陥りやすいバイアスの積み重ねについて分析する。
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1月末、X(旧ツイッター)でトレンド1位になったのが「見知らぬ女」というワード。何かと思えば、トランプ大統領の就任式で米国に外遊していた岩屋毅外務相が、東京・赤坂の衆院議員宿舎に帰宅したところ、部屋に見知らぬ女がいて鉢合わせしたという。いったいどういうことなのか。
事件の真相を、元衆院議員の宮崎健介氏がABEMA TVの「ABEMA的ニュースショー」で関係者に聞いた話として、「いろんなものが掛け合わさって、起こってしまった事件、事故なんです」と明かしていた。当初からこのニュースに緊迫感はなかったから、ネットでは「愛人では」「ハニートラップ?」と、岩屋氏との関係性を疑う声も出た。そう思うのも無理はない。議員宿舎といえば入り口には守衛やスタッフがいて、セキュリティーがしっかりしているというイメージしかないからだ。
林芳正官房長官は1月30日の記者会見で、「関係者以外の立入事案があったことは事実」と赤坂の宿舎への不法侵入があったことを認めた。岩屋大臣もマイクを向けた記者たちに「事実ですけどね。すぐにお帰りいただいたんですが、何の被害もありませんでした」と少々困惑気味の声で述べ、警察当局や宿舎の管理会社に対して「警備がこういうことがあってはならない、さらにしっかり強化をしてもらいたいと申し上げた」と語った。
女性が部屋に入っていたのは、岩屋氏自身が自室のカギをかけ忘れて出ていたからだ。そのためかコメントは不法侵入した女性に敬語を使うというおかしなもので、警察に通報すらしていないのだ。にわかに信じがたい対応に、岩屋氏の危機意識の緩さを危ぶむ声が聞こえてくる。