フランス凱旋門賞も経験、34年間の騎乗で夏のレースも冬レースも知りつくす蛯名正義氏
ただし、ここまで新馬戦に出走するハードルが高いと、今後は未勝利戦でデビューさせることも多くなります。こちらはまず前走で5着以内に入った馬、その次に未出走馬に優先出走権が与えられます。「経験馬相手では厳しい」と言われますが、競馬場の雰囲気やゲートの出、レースでの馬込みの捌き方などは経験が生きるかもしれないけれど、考え方を変えれば、レースでの経験を積むことや、仕上がり過ぎにならないようにするなど悪い面ばかりではないかと思いますし、能力があれば克服することもできます。今年から初出走で未勝利戦に勝つと、新馬戦と同じ賞金になったのも魅力のひとつですね。
蛯名厩舎でも1月25、26日に未勝利戦で3頭をデビューさせました。そのうちの1頭ラブリージャブリーは中団につけて流れに乗り、直線では大外に出して、1番人気馬に競り勝ってくれました。着差以上に強い競馬で、これからが楽しみです。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。この連載をベースにした小学館新書『調教師になったトップ・ジョッキー?2500勝騎手がたどりついた「競馬の真実」』が発売中。
※週刊ポスト2025年2月14・21日号