国際情報

《アメリカ移住のリアル》借金450万円でも家賃28万円の家から引っ越せない“世知辛い事情”隣町は安いが「車上荒らし、ドラッグ、強盗…」危険がいっぱい

コンビニを兼ねているアメリカのガソリンスタンド(「地獄海外難民」氏のXより)

コンビニを兼ねているアメリカのガソリンスタンド(「地獄海外難民」氏のXより)

「家賃は毎月28万5000円。豪邸でも何でもありません」――そう語るのは、英語を猛勉強し、アメリカ人女性との結婚を機に米国に移住したニューヨーク在住のYouTuber「地獄海外難民」氏。在米の大工組合に所属して見習い大工として派遣現場で働きながら、フードデリバリーやライドシェアなどいくつもの仕事を掛け持ちしている。

 海外移住といえば“夢のある”イメージが付き物だが、普段目にする情報はほんの一部分に過ぎない。視点を変えると現地のさまざまな姿が見えてくる。

「地獄海外難民」氏は、著書『底辺の大工、ヤバいアメリカで生きのびる絶望の中で見つけた「自分を見失わない」方法』(KADOKAWA)で、不安定な仕事に従事する日本人の視点から、アメリカ生活のリアルを綴っている。

 現在、幼い子ども2人を含む4人家族。貯金もままならないどころか、借金は450万円にのぼるという。それでも日本に帰らない事情とは──。(同書より一部抜粋して再構成)【全3回の第1回】

 * * *

“家賃28万円”がリアルな最低ライン

「難民」家は、ニューヨークシティから車で1時間半北に向かった町にあります。東京における青梅市辺りという感じでしょうか。結構、自然豊かな田舎です。

 そこでタウンハウスの借家に住んでいます。タウンハウスは家を2つに仕切ってお隣さんとシェアする家です。間取りは寝室2つ、ユニットバス、リビング、キッチンです。洗濯機置き場はなく、コインランドリーを使っています。

 家賃は毎月1900ドル(28万5000円 ※1ドル=150円換算、書籍執筆時)。

 家賃28万って、どんだけ豪邸ですか。視聴者様から「海外難民のくせに」と言われますが、無理もありません。日本で彼女と住んでいた部屋は6万円でした。

 そもそもアメリカの家の規格は日本より大きく、造りも違うので豪邸に見えるかもしれません。でも住んでいる家はアメリカでは一般的なサイズで、豪邸でも何でもありません。

「もっと安いところに引っ越すべきだ」というコメントをよくいただきますし、僕もそうしたいところですが、話はそう簡単ではありません。

 僕の住む地域の平均家賃は、月に2500?3000ドルぐらい。だから、この間取りで1900ドルはこの周辺では一番安いです。

 また、橋を渡って川を挟んだ対岸の隣町に行けば、同じくらいの広さでだいたい1600ドルぐらいで借りられます。300ドルも安い。

 ただし、その隣町は全米でトップ50に入るほどの危険なスラム街です。

 空き巣に入られる、車上荒らしに遭う、夜は出歩けない、強盗に遭う、道でドラッグを売ってる、街に売春婦が立ってる、ギャングがあちこちで活動してる……。僕の友人はナイフで刺されました。

 簡単に銃が手に入る社会なので、命を落とす危険があります。そこまでのリスクを冒して300ドル下げたいかと言われれば、絶対にノーです。

 他州に引っ越すことも考えたのですが、僕は大工の見習い中で、その期間は他州への引っ越しは避けるよう組合から言われています。州ごとに学校のカリキュラムや卒業条件が異なるからです。

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン