岸信千世氏が政治資金を“無税相続”のカラクリ
残った資金は信千世氏が補選に当選した直後の2023年5月にまず2000万円が信千世氏の資金管理団体「誠信会」に寄附され、東京政経研究会が翌2024年4月に解散する際、残余金の約1714万円が全額、信千世氏の「誠信会」に寄附されたのだ。政治資金を監視してきた上脇博之・神戸学院大学教授が指摘する。
「これには実質的な相続と言えるにもかかわらず、相続税がかからないという問題があります。相続税は、『資産家が亡くなった時に、子供が何の努力もなく遺産を全部手にするのでは公平な世の中にならない。だから国が相続税を取り、国民に再分配する』という仕組み。そうした考え方を踏まえれば、世襲政治家だけが父や伯父の政治資金を無税で相続できるのはおかしいと言えます。
しかも、政治資金が安倍氏の後継者として同じ選挙区から出馬した吉田氏に寄附されたのはまだしも、選挙区が違う信千世氏への寄附は理屈が通らない。血縁を理由にした寄附ならまさに政治資金の私物化でしょう」
(後編に続く)
※週刊ポスト2025年3月14日号