芸能

《NHKとフジテレビ》今冬話題2つの『エマージェンシーコール』、ジャンル違いながらも共通する「臨場感」「ワンシチュエーション」「声の演出」

フジテレビ系『119エマージェンシーコール』(公式HPより)

フジテレビ系『119エマージェンシーコール』(公式HPより)

『エマージェンシーコール』という同タイトルで、NHKのドキュメンタリーとフジテレビのドラマの2番組が注目を集めている。両番組が支持される理由と、共通点とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

* * *
 中居正広氏とフジテレビの騒動を除けば、エンタメ界隈で今冬トップクラスのホットワードとなっているのが「エマージェンシーコール」。

 同時期に、NHK総合のドキュメンタリー『エマージェンシーコール 緊急通報指令室』、フジテレビのドラマ『119エマージェンシーコール』の2番組が放送され、それぞれが反響を集めています。

 両番組の相乗効果で「エマージェンシーコール」というフレーズや、舞台となっている消防指令センターの認知度が急上昇。しかもその内容がそろって好評であることも効果を高めている感があります。

 両番組は1月13日の放送日が宮崎県で発生した地震で中断・延期される事態に見舞われ、ドラマは同27日にもフジテレビが緊急会見を行ったことで急きょ放送休止に。さらにフジテレビに撮影協力をしている横浜市と横浜市消防局が批判を受けるなど放送続行が危ぶまれました。そんな逆境を乗り越えてきたドラマ性もあって、ネット上には熱く語るような声が徐々に目立ちはじめています。

 2つの番組はそれぞれどこがなぜ支持され、どんな共通点があるのでしょうか。

目の前の命をめぐる臨場感と緊迫感

 まず『エマージェンシーコール 緊急通報指令室』は、「思わぬ事件や事故、ケガや病に見舞われたとき…24時間365日、どんなときも応答してくれる緊急通報の指令室にカメラが密着!緊急通報を受けるオペレーターと、通報者の会話だけで日本の今を描く」というコンセプトのドキュメンタリー。もともとヨーロッパやアメリカで人気のシリーズであり、2022年1月に「エピソード1」がスタートして以降、ここまで不定期で「エピソード10」まで放送され、回を追うことに支持の声が広がっています。

 支持されているのは、ドキュメンタリーらしい臨場感と緊迫感。2月24日に放送された“エピソード10 名古屋 幸せを願って”では、「凄く血が出とるんだわ。まあ死んだら死んだでええわ」と自暴自棄な人、負傷しているのに「近所迷惑になる」と救急車を拒否する人、「ついかけちゃったの」という医療相談、「救急車の音がうるさい」と不満をぶつける苦情、誤って大量に薬を飲んで反応がない7歳児の親などに対応する姿が見られました。

 クライマックスでは「死にたいんです」という31歳女性からの通報。しかも高いベランダからの電話であり、「うつ病を持っている」「職場から『次の更新がないかもしれない』と言われた」「以前にも同じことがあって『もうダメだ』と思った」ことを聞き出しながら、救急隊員が到着するまでの間、必死に会話をつなぐ様子が映されました。

 次にフジテレビのドラマ『119エマージェンシーコール』は、一度聞いた声は忘れない新人指令管制員・粕原雪(清野菜名)と消防局通信指令センターのメンバーが、目の前の命を救うべく通報者の声を聞き、想像力を使って最善を尽くしていく様子が描かれています。

 支持されているのは、ドキュメンタリーの『エマージェンシーコール 緊急通報指令室』に遜色ないほどの臨場感と緊迫感。奇しくも同じ24日に放送された第6話では、「これから死のうと思っていて」と風呂から電話をかける女性が登場しました。

 雪は住所を聞き出したものの、「じゃあ絶対来てくださいね。こっちも終わらせておくので」と自殺を示唆して電話を切られてしまう危機的状況に。その他でも、いたずらのような電話に悩まされながらも、「男に殴られて逃げている」という女性やタクシーでの移動中に破水した妊婦の夫からの通報など、緊迫したシーンが続きました。

関連記事

トピックス

被災地に何度も足を運び続けた羽生結弦(写真/AFLOsports)
羽生結弦、アイスショーで結ぶ能登との絆 被災した輪島朝市から複数の店舗がショーに出店、14歳の孫娘を亡くした漆芸工房の男性は「きっと見守ってくれていると思う」
女性セブン
結婚発表の前日、夫婦水入らずで”映画デート”を楽しんでいた筧美和子(30)
【筧美和子が結婚】「肩を抱かれ、頬にキスを…」真っ赤なニットで大胆に、イケメン経営者との結婚発表前日“映画デート”一部始終
NEWSポストセブン
フジテレビから豪華な生花スタンドが贈られていたものの…(左から中村鶴松、中村長三郎、中村七之助、中村勘九郎、中村勘太郎、中村虎之介)
歌舞伎俳優・中村鶴松への“フジテレビからの贈花取り下げ騒動”の顛末 所属事務所が明かした意外な真相
週刊ポスト
倉庫内に保管されている政府の備蓄米(時事通信フォト)
今も続く「令和の米騒動」 一攫千金を狙って買い込んだ”転売ヤー”たちの嘆き「SNSやフリマアプリでもほとんど売れない」
NEWSポストセブン
大手ブランド「無印良品」の商品画像への違和感を表明する声が一部で上がっている(時事通信フォト)
〈女性は鑑賞対象という認識があるのでは〉『無印良品』女性用ショーツのみモデル着用のオンラインストアに議論〈女性客のために企業側が金かけている〉との意見も…広報の公式回答は
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
「心情のモニタリングとして…」精神科医・田村修被告が事件後、娘・瑠奈被告の言動を“録音”していた「精神科医としての動機」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
軽井沢町の一角で黒柳徹子(91才)の「記念館」の工事が進められている
《黒柳徹子の集大成が間もなくお披露目へ》軽井沢に極秘建設中の記念館「超突貫で工事を進めてオープン前倒し」の異変
女性セブン
野村広之容疑者宅の家宅捜索を終え、資料を運ぶ捜査員(時事通信フォト)
〈ドアが開いたらババアをボコして大丈夫です〉闇バイト・狛江強盗致死事件実行犯が裁判で語った指示役の「リアルタイム遠隔指示」
週刊ポスト
NEWSポストセブンにメッセージを寄せた嶽本野ばら
「一度、沈んだ人間は簡単に浮かび上がれない」『下妻物語』から20年…作家・嶽本野ばらに届いた「あの人は今」オファー 2度の逮捕、カード破産を経て続ける“ロリータ道”を振り返る
NEWSポストセブン
フィリピン・マニラ近郊にあるビクタン収容所
〈一軒家タタキあり 最低1000万 貴金属を売れば3000万〉闇バイト強盗リーダー・永田陸人被告が裁判で明かした「案件の募集内容」…〈チャチャッとやっちゃって大丈夫〉の指示も
週刊ポスト
伊東和彦容疑者の自宅。ここで覚せい剤や数百本の注射器が押収された
覚醒剤と注射器数百本押収で“優しい元教頭先生”伊東和彦容疑者(52)衝撃逮捕「地元のエリート家系だったのに…」 同居父は「異変感じなかった」《三重県津市》
NEWSポストセブン
水原一平被告の学生時代(秋元氏提供)
《水原一平が“大谷翔平の通訳”に成り上がるまで》「こち亀、GLAYが大好き」親友が明かした“アイデンティティに悩んだLAでの高校時代”
NEWSポストセブン